狂気のお姫様

「……え、まじでそれ食うの?」

「え、はい」


天と言いつつ、多分1番話しやすいであろう陽ちゃんと小田が打ち解けるのは、そう遅くはなかった。

陽ちゃんを待っている間ずっと「本当に大丈夫そ?パフェ食べるんだよ?大丈夫そ?」とぶつぶつ言っていた小田も、今やこの返事である。


「ちなみにちゃんと晩御飯食べるんだよね?」

「当たり前じゃないですか」


何を言っているんだお前は、な表情に戸惑いの陽ちゃん。小田という生き物にタジタジ。


「律、小田ってこんな感じの子だったっけ……」

「食い意地の神だからなこいつは」

「食い意地の……神……?まぁでも、彼氏に飛び蹴りする時点で普通ではなかったか」

「いや!それは東堂の影響ですよ!!」


パフェにがっつきながらも、ツッコミは怠らない小田。

何を言ってるんだ。私が元凶みたいじゃないか。


「如月さんは何も食べないんですか?」

「俺は小田のパフェをつつくからいいよ」

「ちょ!何してるんですか!やめてくださいよ!!」


パフェ命の女からパフェを奪う男。

うん、シュールだ。

一口も他人にあげたくない、という気持ちが眼力に出ている小田。

ちなみに私は普通のサイズのパフェなので、陽ちゃんがびっくりするような大きさではない。


「小田、さっきまで陽ちゃんのことびびってたのに」

「え、そうなの?」

器用に小田のパフェをつつく陽ちゃんは、唇についたクリームをペロリと舐める。


「いやだってあの天ですよ。それに、東堂がいるから多少は分かるものの、私たち一般人からしたら如月さんって謎だったんですもん」

「え、陽ちゃんが?」

「あんまり人と話してるところを見たことがないから……?」

こいつ家ではおしゃべりマシンだぞ。


「あー、でも俺、確かにあいつらとしか話さないかも」


1番話しやすいオーラはあるんだけどな。


「だから、学校で東堂とよく話してるのを見かける子たちが、どんどん如月さん推しになっていってるらしいですよ」

「待って無理」

今のは私である。

私と話しているときの陽ちゃんなんて、意地が悪い姑の顔をしているときではないか。


「え、俺のファン増えてんの?」

「解せぬ」


やはりうちの学校の女たちは目が悪い。


「ちなみに私も迂闊に推しそうになってます」

「それは蓮に殺されるからやめて」

おっと、三角関係の予感。