狂気のお姫様


「起きたら東堂が消えてた」

「性悪チビと金髪ホストに拉致られてた」

「安定だな」

「そんな安定嫌だ」


無事解放され、教室に命からがら戻ってきたわけだが、まだ寝ていた小田。

聞くと毎日8時間は寝ているらしいので、なんで毎日授業で眠れるのかが理解できない。


「そのあと愁さんも来て、後頭部にたんこぶできた」

「え、殴られた?」

説明が悪かった。


「仰け反った時に、後ろが壁だった」

「何にそんなに仰け反ることがあるんだよ」


聞かれるとは思ってたが、ちょっと聞いてほしくなかったな、小田よ。


「最近、銀髪の顔面に暴力振るわれるんだよな…」

「あー……なるほど…。まぁでも、あの顔面はしょうがないよ」

「…だよな?」

「だけど東堂がそんなこと言うなんて珍しくないか?」


もとから、顔面綺麗だなぁとは思ってたけど、なぜか最近の攻撃力、高いんだよなぁ。


「…もしかして」

「お?」

「これが…推し…?」

「そっちいったか〜〜〜〜〜」


なぜか頭を抱える小田に、次は私がハテナ顔。そっちってどっちだよ。

「東堂、羽賀さんの顔が良いのは分かる。あれはもう人間じゃないもん」

「うん」

「だけどな、あの、なんというか……」

「うん?」

煮えきらない態度の小田に、首を傾げる。

「なんだよ」

「なんというか…え、これ私が言っていいのか?ていうか、そうなのか…?私の推理合ってる……?」

頭を抱える小田に、さらに首を傾げる。

なんだこいつは。

いつも変だと思っていたが、今日は特段変だな。



が、

「それは恋だね!!!!!」

いきなり真上からした声に、

「うわっ、びっくりした!!」

思わず振り返ると、後ろには、無駄にドヤ顔を決め込んでいるメガネもとい蘭。


「ら、蘭くん!急に現れたと思ったら!それ言っていいやつかな!?」

と、小田はびっくりしつつも蘭の襟を掴む。

「ぐぇっ、か、かなみん、首首首首」


しかし私はというと、

「いや、好きではないでしょ」

あの神秘的だけど鬼畜な銀髪を好きって、ないでしょ。


「かなみん……」

「蘭くん……」

2人は顔を見合わせる。

「かなみん、まだその時ではないかも」

「私も思った」

「俺、見誤った説ある」

「私も思った」

「おせっかい焼きすぎた」

「でも逆に言って良かった説もある」

「確かにそれ説もある」


なんだこいらはさっきから。諸説ありすぎだろ。

確かに愁さんを見ると心臓が痛い時もあるけど…、え、あれが恋……?

いや、私が想像しているものとなんか違う気がする。

誰しも、あの顔が前にあったらそりゃ心臓が殺られるだろう。


「ちなみに東堂、羽賀さんに彼女ができたらどう思う?」

そんなこと言われても……。

「どこの格闘家かな、って思う」

「あ、おっけ」

この恋なんじゃないか論争は、小田と蘭の燃え尽きた顔で、幕を閉じたのであった。