狂気のお姫様

ていうか、この状況、この、3人のヤンキーに囲まれている状況。

客観的に見て、カツアゲされているようにしか見えない。

いや、もはやカツアゲと似たようなものではあるか。強制的に拉致られているわけだし。


「えー、律ちゃんお持ち帰りして何するつもり〜?」

「別にやましいことは考えてないし〜?」


と、なんだか2人で盛り上がっている男2人を、相変わらず完全無視している銀髪。

そういえば、愁さんって千秋ちゃんと知り合いなんだよな…?

本人から知り合いだと言われたわけではないけど。

こないだ千秋ちゃんに聞いてみれば良かった。


「知り合い…なんですよね?」

「別に」


何がなんでも答えないつもりなのか、愁さんの眉間に微かに皺がよる。

ていうかなんで知り合いなんだ?どういう知り合い?本職の人と知り合いって、大体は本職の人しかいないと思うんだけどなあ。


「俺の家極道じゃないよ」

違うらしい。ていうか顔に出てたらしい。

「愁ちゃんの家極道だと思ってたの?こんなに普通の高校生なのに?」

と佐々木夕が話に入ってくる。

「いや普通ではないですよね確実に?」

「それは律ちゃんだよね?」

「失礼な」


陽ちゃん除いた他の3人もだけど、本当に高校生か?と思えるほどのオーラや強さを持っているから、本職と繋がっててもおかしくはないんだけど。

でも、その中でも愁さんは、なんというか……、神秘的というか、神仏をこえているというか、普通の高校生じゃないことは確実なんだけど…、形容しがたいオーラがあるんだよなぁ。

色素薄いなぁ、肌綺麗だなぁ、とぼんやり思いながら、私の髪の毛をくるくると弄っている愁さんを見つめる。

と、ふいに伏せていた色素の薄い長いまつ毛が上がる。


「ん?」

「おっ……ガンッ」

「律ちゃん!?」

「いっ…………たぁ…」


やばかった。

軽率に言って、「ん?」の破壊力が、やばかったのだ。

あまりの破壊力に仰け反ったところ、後ろが壁だったらしい。頭がかち割れた。


「何やってんの」


ご尊顔がお綺麗な方の上目遣いって…、すごいんだな。

いつもの如く、怪訝な顔の愁さんを他所に、後頭部がジンジンと痛み、それどころじゃない。


「えぇ!?律ちゃん!?すんごい落としたよ今!?」

「削れたかも…私の後頭部削れたかも……」

「大丈夫だよ!!一応血は出てないよ!!」


私の後頭部を優しくかき分ける鳴さんと、またもや笑い転げる性悪チビ。

こういうときの鳴さん、ポイント高い。

さすが女の子の扱いがうまいだけある。

じゃなくて、痛い。マジで痛い。


「えっぐい音した!!ぶひゃひゃ!!!」

そしてこいつは笑い声がもはや神仏こえてるわ。