狂気のお姫様

有り得ない。

あの銀髪、一生恨んでやる。


「りーつちゃーーーん!!!」


お前ら不良だろ、体育祭ぐらいサボれよ、と心の中で悪口を言いまくるが、如何せん後ろの性悪チビが撒けなくて困っている東堂です。

小田の呪いか、はたまた小田の怨念か、小田に藁人形を杭で打たれてるのは間違いないと思う。

佐々木夕の後ろの輩たちは、1人ずつ離脱していってるが、結局この鬼ごっこの途中で参加してくる奴もいるからプラマイゼロな気がする。

不運なことに、今私が走っているゾーンは空き教室がないし、あったとしてももう乱闘が始まっているので迂闊に中に入れない。ところどころで起きている乱闘に乗じて何人か撒けた気はするが、もう一度後ろを振り向くと数が変わってないのは一体なんなのか。ゴキブリどもめ。

いや、後ろの輩たちは別にいいのだ。

問題は先頭きって突っ込んでくる闘牛の親玉佐々木夕だ。

元祖面倒臭がり屋みたいなところはあるのに、変なところで張り切ってやる気を見せるタイプときた。最悪だ。


『──残り、30分です』


音質の悪いアナウンスが聴こえる。

まだ半分しか経っていないらしく、走りながらガクッと肩を落とす。

さすがにこのまま体力が続くわけもなく、頭の中でいろいろな案を模索する、が、場所が悪い。せめてもうちょっと人が多いところに出られたら…。


「律ちゃん速いよーー」

アンタもな!!

見なくても分かる。絶対あいつ笑ってやがる。

くそ銀髪め。すべてはあの男のせいだ。さっき、私には優しいだのなんだの言ってたのは全部フリか??このためのフリなのか??良い顔だと思って騙された私が悪いのか??


「……ハァッ!!」

息切れにイライラしながら、最短ルートで角を曲がる。この体力で階段を登るのは無理、ということは1階まで降りるしかない。

階段の一番上から踊り場に飛び降りる。それを繰り返す。この前から鍛えてて良かった。筋肉痛も功を成しているようだ。


「えぇ!?飛び降…!?」

と、上の方から佐々木夕の声が聞こえるので、距離は結構あいたようだ。

1階まで降りたところで、人集りを探す。

なるべく紛れられるところ、そして仲間チームがいるところが好ましい。

もう走りたくないよーー。

「…あっ」

とここで、私の金髪センサーが反応する。

あの純度100%の金髪は…。


「私のハンカチとる?」
「私のもあげるよー?」
「鳴くんのハンカチ欲しいなぁ」


グッドタイミングなカモ…!いや、金髪ホスト!!