「…」
あ、不憫。長谷川蓮不憫。めちゃめちゃ悲しい顔してる。見てるこっちが切ない。
「バカ小田…」
「はぁ!?今バカって言いました!?」
そこは聞こえるんかい。
ていうかそんな茶番をしている場合じゃない。
そして、
「げ!あれ長谷川蓮じゃ…!!!」
「おい聞いてねぇぞ!!!!」
「待て!同じチームだよな!?!?」
さすがに物凄い形相で前から走ってくる男が長谷川蓮だと気づいた様子の男たち。 同じチームなんだ…可哀想に…。
が、人間いきなりは止まれないよね。
「も、無理…っ!!」
小田の体力が限界に近づいた瞬間、
「休んでろ」
長谷川蓮が小田とすれ違った。
ガンッ
「うぐッ!!!」
今のは勿論、長谷川蓮が男たちに飛び蹴りをし、なぎ倒した音である。
あぁ不憫。自分が動いている方向と逆の方から物理的攻撃されると体がもげそうになるよね。痛そう。すごく痛そう。
そこからは早かった。
もはや死にかけの男たちをこれでもかというほどボコボコにする長谷川蓮は、加減というものを知らないんじゃないか。
「も、もういいですから!」
ゼェハァと息をしながら廊下に転がってる小田もさすがにやばいと思ったのか、止めに入る。
「長谷川さん!!」
が、彼には聞こえてない様子。余程お怒りのようだ。
ちょっとやばいかな、と思い、止めに行こうと教室を出ようと試みる、が、
「れ、蓮さん!!」
「なんだ小田」
「絶対聞こえてただろあんた!!!!!」
うん。私も思った。
反動で、全力で廊下に寝そべる小田はリアクション芸人目指せるかもしれない。
「何がだ。大丈夫か小田」
「…あんたの脳みそが大丈夫か」
「ん?なんだ、なんか言ったか」
「いえ別に何も」
長谷川蓮はまるで大型犬のようで、しっぽを振っているように見えるのは幻か。
血祭りにあげていた男たちをペイッと放り投げ、小田を起こしてあげる長谷川蓮はまさに忠犬。
「もう無理疲れた……」
「死ぬな小田」
「いや私の死因なんですか。体力の限界ですか」
「しょうがないやつだな小田は」
「意味分からん」
「俺がいて良かっただろ」
「助けてくれるなら誰でも良かったですけどね」
「俺がいて良かっただろ」
「はいはい助かりました」
「だろ。そうだろ」
「鼻息荒いんですけど」
「いつもだ」
「それはそれで気持ち悪い」
割とあいつらお似合いだと思うのは私だけだろうか。
「いいと思うけどなぁ」
「そうだね」
「でしょ?」
「うん」
「……」
「……」
「ぎゃっ!!!!!」
今世紀最大に可愛くない声が出たと思う。
