「と、東堂……」
小田は今すぐ死ぬんじゃないかっていうぐらい苦しそうな顔でぷるぷる震えている。
「うわ……」
小田のハンカチを覗き込むと、赤いハンカチの真ん中に大きく描かれた「✕」が見えた。
「終わった……人生、終わった……」
本当に終わったな、と思うが、可哀想なのでそこは言わないでおいてやろう。
「小田、別行動な」
「いきなり見捨てる!!!」
「当たり前だろ。私ターゲットじゃないもん」
「やだよ!……そうだ東堂がいれば怖いものないじゃん蹴散らしてくれるじゃん……!」
「小田お前私のことなんだと思ってるんだ?」
「ていうか譲渡できただろこのハンカチ!!やるよ!東堂がターゲットでも誰も狙わないだろ!!」
「やだよ。めんどくさい。ていうか騒いでたらターゲットだって周りにバレるぞ」
「ふぐぅぅうっ」
小田は素早くハンカチを折りたたんでポケットにしまう。
「どうしよう……どうすれば……もはや捨てれば……」
「最後ハンカチちゃんと持ってるか確認されるから持ってなかったらマイナスになるぞ。チームに恨まれたいなら捨てればいいんじゃないか」
「鬼か???????」
そんなこと言われても。
「いやぁ面白いなぁ」
「人の皮を被った悪魔だこいつ」
ちなみに、少々の乱闘はあるとは思うが、降参の意を相手が示した場合は、ただ連れてくるのみとなる。一応いろいろなところに監視の目があるらしく、悪さはできないとのことだ。
どんなところに頭を使ってるんだか、まったく。
「うぅう……っ」
隣の小田は直立したまま泣いているが、周りが殺気だってきたので、そろそろ始まるらしい。
「死んでも東堂から離れないぞ」
何やら呪文のように唱えている小田。
ターゲットが敵から逃げる競技なのに、私だけ小田から逃げる競技になりそうだ。
『──それでは、ハンカチとり、スタート』
さて地獄の競技の開幕だ。
