狂気のお姫様



今この状況で話しかけられたくないだろうな、あの取り巻きたちも。彼女たちはこの女に洗脳された被害者…と聖女なら思うかもしれないが、私はそんなに優しくない。


「そうだよねぇ。鹿島さんのお友達たち、みーんな私のこと悪者扱いしてたもんね。具体的に私が何をしたか言ってみてよ」

鹿島に縋りつかれる取り巻きたちは、周りの注目を浴びて咄嗟に俯く。

私が質問してるんだけど?


「え、答えられないの?じゃあなんで私がいじめてたことになってんの?」

どんどん詰められて、逃げ場もないぐらい詰められて、彼女たちは一体なんと答えるのか。

「杏奈の悪口言いふらしたり…、杏奈を天に近づけさせないように…したり…」

歯切れ悪くそう答える様はあまりにも無様で、笑いが込み上げてきそうだ。


「で?その光景を見たと?」

「み、見てはないけど…」

「じゃあー、私がこの人の悪口言ってるのとか、天に近づけないようにしてたの、見たことある人ー」

はーい、と自ら手をあげて、目撃者を探すが、手をあげる人なんて誰もいない。そりゃそうだ。私は奴の悪口なんて流していないのだから。



「てことはー、鹿島さんの、自作自演?」

コテン、と首を傾げて鹿島に目を向ける。

「ちがう!私ほんとにあの女にいじめられてたの!信じて!!!みんな!!」

『あの女』ねぇ。口が悪くなってきてるよ?

取り巻きたちも周りのオーディエンスたちも、私の味方ではないが、今は鹿島杏奈の味方でもない。どっちにつくべきか、小さい脳みそで考えていることだろう。


「私がいじめてたって証拠、出しなよ」

これは、取り巻きたちに発した言葉だ。


「それは…」

「ほら、早く。ねぇ。散々私に言ってきたじゃん。『いつも杏奈をいじめてる』って。ないの?証拠。何を根拠にそんなこと言ってたの?」

「そ、それは…」

「それは?」

「杏奈がそう言ってたから…」


ほらほら、化けの皮がもうすぐ剥がれるぞ。