スタッ
出口まで走るのは面倒なので、窓から飛び降りる。ショートカットだ。まぁ、飛び降りると言っても1階なのだが。
しかし、ショートカットするということは。
「あれ、律ちゃん?どしたの?」
「今忙しい」
「え、はや。無視?急いでるとこ見ると捕まえたくなるんだけど」
「うぎゃ」
金髪垂れ目がいるということ。
「ちょっと」
ガバッと後ろから拘束され、身動きがとれない。
「ひどい律ちゃん無視なんて」
「無視してないじゃないですか」
じゃなくて。
「まじで急いでんですけど」
「昨日よく眠れた?」
話聞けよ。
「眠れたから離せ」
ギロリと睨むと、意外にもすんなり私を離す鳴さん。
「冗談じゃん。ほら、武器あげる」
「え、わっ」
ポイッと投げられたそれを反射的に受け取る。
「…」
「なんか分かんないけどファイト♡」
様になっているウインクをシラケた顔で見つめ返す。
「なんで鉄パイプなんて持ってるんですか」
「朝喧嘩してきたから?」
元気だなこの人。
「律ちゃんもすごいねぇ。昨日の今日でまた問題事なんて」
「熱烈ファンがいるんで」
ほんと、アプローチが熱烈すぎてすごいんだから。
「ほんとはもっと話したかったんだけど」
「話すことないです」
「ひどくない?ねぇ、ひどくない?」
「話すことないです」
「2回言う?それ」
何回も言うが、急いでるんだよな。
「これはもらっていきます。じゃ」
「冷たいなぁ」
立ち止まってやっただけ優しいと思え。
ちょっとは『手伝おうか』って言ってくれてもいいんじゃないのか、と思うが、私の獲物だしどうせ小物だということは分かっているのでわざわざ助けを求めることはしない。
それを彼も分かっているのか、この男は鉄パイプだけ渡して寝転ぶ。
「また遊びに来てね〜」
「はいはい」
さて、武器も手に入ったことだし、血の海を見せてやるとするか。
