「うわ…」
薄暗い中、銀色の髪は怪しく光っていて、陶器のような肌に飛び散っている返り血は異様に映えている。
まさに、死神のよう。
「こっわ」
思わず口に出してしまったが、本当に怖い。
愁さんの手には、人間かどうかも分からないぐらいピクリとも動かないモノが握られており、よりホラーみを増している。
「いや、正直俺的には律ちゃんも同レベ」
「いやいや。私慈悲深いんで」
「え、どの口が言う?」
「慈悲で溢れてるじゃないですか」
「ちょ、陽介、この子バカなの?」
「今更気づいたのかよ」
「え、待って。2人とも失礼じゃない?」
私、あんなに冷えきった目してないんだけど。
「てことで律ちゃん止めてきて」
「無理すぎません?」
それこそ無茶だ金髪ホストよ。
さすがにあれ以上殴ってしまえば命に関わるかもしれない。だってもう動いてないし。
ただ、止めに入って自分が殺されるほうが嫌だ。
「律ちゃんが行けば止まるよきっと」
「なんでですか」
「やっぱり女の子から言われたほうがいいじゃん?」
「それ通用しない人ナンバーワンですよねあの人」
金髪ホストとは違うんだよ。
「今めっちゃ失礼なこと思ったでしょ」
「思いました」
「わ、素直〜」
「取り柄なんで」
「陽介、ちゃんと教育して」
「このじゃじゃ馬は無理」
「さっきから私のこと馬にしがちじゃない?」
ってそんなこと言ってる場合じゃなくてよ。
「愁さん止めないとじゃん」
「よくお分かりで」
「ちなみにあの殴られてる人誰?なんであんな殴られてんの」
「仙道だろ。愁のやつ、さっきまで普通だったのに…」
「あー、確かに。辛うじて髪が紺色だわ」
陽ちゃんと鳴さんの言葉に、口の端がピリリと痛む。
携帯のことで頭から消えていたが、そういえばあいつ、私のこと殴ったんだった。
「ちょっと、私もあいつ殴らないと」
「は?」
「え、ちょ、律ちゃん!?」
殴られたらやり返す。
一番大事なことを忘れてた。
「愁さんどいて」
後ろの方で陽ちゃんと鳴さんの声が聞こえるが、こちらは仕返しモード全快なので無視だ。
「…律?」
私の声に、愁さんが反応したかと思うと、目をギョッと丸くさせた。
「てめぇよくも乙女の顔に傷つけやがったな!!!」
バキッ
「グェッ…」
渾身の飛び蹴りをお見舞いすると、仙道はカエルが潰れたような声を出し、数メートル吹っ飛んだ。
「律!!!!お前はほんとに!!!!!!」
パコ-ンッ
「いったぁ!!!!」
