「ストップ!!!!!」
どれぐらい時間が経ったのだろうか。
陽ちゃんの声が右側からしたかと思うと、両腕をガッチリ捕まえられたのが分かった。
「さすがに律ちゃん殺人犯にはできないからねー」
左側からは鳴さんの声が聞こえ、今私は2人に拘束されている状態らしい。
「あれー?」
目の前には、血まみれの男。
グリンッ
「あー、陽ちゃんだー」
首だけを陽ちゃんの方に向けると、陽ちゃんは顔を顰める。
「律。落ち着け」
「私はいつだって落ち着いてるよー」
「落ち着いてる奴は人をこんなに殴ったりしないんだよバカ」
「だってこいつ、私の携帯踏んだんだもん」
この前も修理したのにまた修理。
しかもジローさんにバレないようにしなきゃならないんだからめんどくさい。
キレるのも当たり前じゃないか。
「『キレる』のレベルが低い…というかお前の地雷はまじで難しいから厄介なんだわ」
「厄介て」
そんな世話の焼ける子供みたいに言わなくても。
ちぇ。せっかくいい気分だったのに。
「鳴。もういける」
陽ちゃんが鳴さんに声をかける。
「そ?俺結構ヒヤヒヤしてたんだけど今」
何の話?いけるって何が?と思いながら鳴さんを見ると、珍しく顔が引きつっている。どうしたんだ一体。
「なにが?」
そう聞くも、2人とも答えてくれない。
「ていうかいつまで拘束されるの私」
「暴れ馬がいつ暴れ出すか分からねぇからな」
「え、失礼じゃない?」
私だって誰彼構わずボコボコにするわけじゃないからな。
陽ちゃんと鳴さんが私から離れた瞬間、私が襟を掴んでた男がゴム人形のように床に倒れる。
「律ちゃんが暴れるとこ見るの、心臓に悪いんだけど」
鳴さんはそう言いながら胸をさするが…、そうじゃん。そもそも私を喧嘩の中に連れてきたのはお前じゃないか。
ゲシッ
「いった!何!なんで俺蹴られた今!?」
「いや、ムカついたから」
「え、陽介この子怖い!」
「慣れろ」
「無茶言う」
きょろきょろと辺りを見回すと、壮大な死体の山ができており、立っているのは天だけ。南無三…。
正直、彼らの喧嘩を客観的に見たら普通に怖かったと思うし、本当にみんな強すぎてドン引いた。怪我なんてしてないじゃん。
「蓮ちゃん!サボりは許されねぇ!!」
「夕いつもサボってんだろ」
「俺は今日はサボってねぇから蓮ちゃんも今日はサボっちゃダメだった!!」
「???おぅ…???」
さっき小田のところへ行っていた長谷川蓮もいつの間にか参戦していたらしく、今佐々木夕に怒られている。というか、理不尽な言葉を浴びせられている。
小田はまだ上か。まぁ、ことが済むまでここに降りてくるのは得策ではないからな。
「あれ、愁さんは?」
そういえば銀髪頭が見当たらない。
「あー…あそこ」
陽ちゃんは気まずそうな顔で奥の方を指さす。
