狂気のお姫様



「私、早く帰りたいんですけど」

血でベタベタするし、お腹もすいたし。

こんな雑魚、10人集まっても100人集まっても変わらない。雑魚は雑魚だ。

さっさと終わらしてさっさと帰りたい。


「はっ、お前らこの人数相手に本当に勝てるとでも思ってんのかよ」

仙道はまだ自分がどのような状況に置かれているか、分かっていないようだ。

今まで天とやり合ってきたんじゃないのか。何故彼らとの力の差が分からない。

人数では到底埋めきれないというのに。


「んー…」

それを証拠に、彼らは仙道の言葉なんて聞いていない。佐々木夕なんて悠長に伸びをしているほどだ。

あぁもう。そんなことするからまた相手がヒートアップするんじゃないか。


「ぶっ殺してやる!!!」

仙道がそう言うと、周りの男たちの殺気も高まり、怒号が飛び交っている。



「さてさて、うちの姫さんが早く帰りたいって言ってるし」

「やるかー」

一番最初に動き出したのは、意外にも鳴さんだった。

「なっ!!」

バキッ

近くにいる男を蹴りあげると、男は数メートル吹っ飛んだ。

うわぁ、さすが男の人の脚力、よく飛ぶな…。


そして、今の攻撃が引き金となったみたいだ。


「お前ら!!やれ!!!」

仙道の声に、男たちも動き出す。





「うわー…」

上から見ると、とてつもなく凄惨な絵だと思う。

人がポンポン飛んでるし、みんな顔色ひとつ変わらない。ていうかめちゃくちゃ面倒くさそうだしな。




さて…、私の役目は一応終わった。小田もいることだし部屋に戻って事が終わるのを待つか。



「…」

「…」

「…」

と思ったんだけど、何この視線。

チラリと下を見ると、微動だにせずこちらを見ている奇天烈野郎が1人。


「…」

「…」

「…なんですか」

「小田は」

出たよ。小田の強火ファン。

「この奥の部屋にいますけど」

多分顔面蒼白で泡吹いてるけど。

「分かった」


何が分かったのか分からないが、長谷川蓮はそう頷くと、1人喧嘩の渦の中から外れ、階段を駆け上がってくる。


「…」


えーーーっと…

君は、こいつらを殺りに来たんじゃないのかね?????

小田ファーストすぎて逆に引く。


それとも長谷川蓮は小田救出隊?もしかしてみんなと話し合って役割分担してるのかもしれない。



「え、え、蓮ちゃーん!!?どこ行ったーー??」

「蓮消えたんだけど!!!!」

探されてるじゃねぇか。


黒い塊が私の後ろを目にも止まらぬ速さで走り抜けて行ったが、それはもう見なかったことにしようと思う。

ガシャ-ンッ!!

後ろ向いてても分かる。

お前、ドア破壊したな。

しかし、下は喧嘩の喧騒のせいでその音は聞こえていない。

残念ながら4人さん、あんたたちの5分の1の戦力は、今ここにいます。


小田には事が終わるまで出てくるなとは言っているが、あとは奴に任せようじゃないか。