「え、あれ…って」
鳴がポツリと呟いた言葉が鮮明に聞こえてきて、その何かの正体がハッキリと分かると、目を覆った。
人だ。
「え…」
「人が、え、降ってきたぞ」
「は?なんで?」
「え、おい、こいつ」
周りの男たちも狼狽えている様子。
そいつは完全に伸びていて、息をしているかどうかも危うい状態。顔面は血に塗れていて、もはやどこから血が出ているかも分からない。
「これは…」
間違いなくキレてる。
愁と目を見合わせると、愁も誰の仕業か分かっている様子。
バンッ!ガンッ!
「あ〜らら。まだいるよ」
悠長に間延びした声でそう言った鳴の言葉で再びそちらへ目をやると、あとを追うようにもう何人ほど降ってきた。
それはまさに地獄絵図。
目の前の奴らも仙道も、動揺を隠せない様子で、自然と人が降ってきた方へ目を向けると、
あぁ、あれは…。
「姫様、ブチ切れだぞ愁」
「あれは……、ホラーだな」
「俺の天使、悪魔になってない?」
「律ちゃん何持ってんのあれ。人…?」
「考えるな夕」
これは…まずい。
「遅いんですよ。何してたんですか」
冷えきった声が、広い空間に静かに響く。
あぁ、本当にご愁傷さまだ。
死体の山に、思わず手を合わせた。
どいつもこいつも…。
本当に怖いのはあの姫なのに。
【side 如月 陽介 end】
