狂気のお姫様



「喧嘩できるなんて聞いてねぇぞ」

ふぅん。

アホはアホでも、まだマシらしい。

私が動けると分かった瞬間、すぐに戦闘態勢に入ったみたいだ。


「だけどこっちは10人だ。何ができる?」

何言ってんだこいつ。

「逆だよ」

「は?」


男たちは私の言葉に、眉間に皺を寄せる。


「お前らが、私に、何ができる?」

「なんだと!!!!」


さっさと終わらせたいんだよね、こっちは。


「この!!!」

ヒュッ

「まだ話の途中なのにー」

殴りかかってくる男の拳をギリギリのところで躱す。

「左ががら空き」

「ヴッ!!!!」

そのまま角材で首の後ろを殴ると、男は床にバウンドする。

あら痛そう。


「怯むんじゃねぇ!たかが女1人だろうが!!」

「おっと」

誰かが叫ぶと、次々に拳が飛んでくる。

が、

「ゲフッ!!!」

「喧嘩、下手なの?」

10対1、ということは10人全員の標的がただ1つしかないということ。それを全員がとりにくる、なんてそりゃ大渋滞になるだろう。抑え込むならまだしも。


降り掛かってくる拳を避け、急所に角材を叩き込む。

あぁ、弱い弱い。

大人数を相手にすると、一人にかけられる時間が少なくなるので、どうしても急所を狙わなければならない。

でもそれじゃあ楽しくない。


ガンッ

部屋の外に逃げようとドアノブに手をかけた男の頭を、そのままドアに蹴りつけると、頭が割れたのか、ズルズルと血の道を作り、床に倒れる。

「逃げちゃうなんて、楽しくないじゃん」

まだ、これからなのに。


「ひぃっ!!!」

男たちの顔は恐怖一色。

やっと自分たちが置かれている状況に気づいたみたいだ。


「武器使うなんて卑怯だぞ!!!」

人質とってる奴らに言われたくないんだけど。

余程焦っているのか、怖いのか、なんて幼稚なセリフなんだ。

お前らは10人もいるのに。

「卑怯?使えるものは使わないと。子どもの喧嘩じゃないんだから。今更卑怯だなんだ言うのはおかしいでしょ」

私がそう言うと、男たちもそれぞれ周りに落ちている武器を手にとる。

が、そんなものに当たる私ではない。


どれぐらい経っただろうか。

絶対楽になんかさせてやんない。

苦しめて、苦しめて、痛さに悶えて、いっその事意識がなくなればいいのになくらない。その状態が一番綺麗だから。



「お前!!来い!!」

ふと、男の1人が、端っこで小さくなっている小田に走り寄る。

数で敵わないなら私相手に人質をとろうとでも思ったのだろう。

が、

ガンッ!!

残念ながら手出しはさせない。



「と、東堂〜!!!!!」

とりあえず鼻水を拭け。