え…。
思わず小田と顔を見合わせる。
愁さん?
なんで私の携帯?いや、陽ちゃんにでも聞いたんだろうけど。
「あぁ。もう俺たちだってバレてんのか。へぇ」
思わぬボスの着信に、仙道の取り巻きたちは動揺している様子。
そりゃそうだろう。あの羽賀愁からの電話だもの。
「あ?元気だよ。今はな」
私たちの話をしているのだろうか、仙道は相変わらずニヤニヤ笑っていて気持ち悪い。
スッと、仙道が携帯を私に向ける。
「羽賀がお前と変われってよ。話してやれよ」
余程自信があるのだろう。勝ち誇った顔が鼻につく。
スピーカーになったのか、携帯から音が漏れる。
あぁ、こないだ城ヶ崎の3年生に拉致られたときもこんなシチュエーションだった。あの3年生たちが可愛く思えるぐらいにレベルは違うが。
「泣いて助けでも求めたらどうだ?」
「…」
いちいち癇に障る奴だ。
私が何もできない女だと思って高を括ってやがる。
[律]
愁さんの声が聞こえる。
なんだかそれだけで安心する気がするのは気のせいか。
「愁さん」
[大丈夫そうか]
「小田がいる」
多分今の『大丈夫そうか』は、1人で倒せそうかという意味だろう。が、残念ながら今は大丈夫ではない。人数も多いし逃げ場もないこの部屋で小田を守りながら戦うのは不利だ。
[すぐ行く。耐えろ]
王の言葉に返事をする間もなく、携帯が仙道のもとにかえる。
「耐えろ?面白い言葉選びをするもんだなぁ?」
吹き出して笑う仙道は、私たちのこの言葉の意味を知らない。知る由もないだろうが。
「今から来たっておせぇよ。お前らが来た頃にはお楽しみも終わってる頃だろうよ」
ブチッと通話が切れる。
「ナイトたちが来る前に楽しもうなぁ」
気持ち悪い。
頭の悪い考えに吐きそうになりながらも、今は耐えるのみ。
別に縛られたままでも戦えるが、今はダメだ。
「あ、そうだった。こいつらがヤられるとこ、全部カメラで撮って流せよ」
は?カメラ?撮る?
「え、いんすか?」
「あぁ。姫からのお達しだ」
「あの女、エグいこと考えますね」
「ほんと怖いわあの女は」
は?
ふざけんなよ。
「…」
ブチ切れそうになるのを必死で堪える。
何を言ってるんだこいつらは。
いや、何を言ってるんだあのクソ女は。
私を心身共にボロボロにしてやろうという魂胆だろうが、やり方が最悪すぎる。犯罪だぞ。
自分の手を汚さない女ごときに惑わされるこいつらもこいつらだが、本当に腹が立つ。
「あんたもほんと、嫌な奴に目をつけられたなぁ」
仙道はそう言うと、私と小田の携帯を他の奴に渡し、
「じゃ、あとはお前らで楽しめよ」
と、部屋から出た。
あぁもう。腹が立つ。
本当に腹が立つ。
殺す。
