狂気のお姫様



「あんたらも不幸だな」

「…」

「あの女に何したんだよ」

「…鹿島杏奈?」

「まぁ俺たちは天を落とせればそれでいいが」

私の問いに対する答えはないが…やはりか。


「見た目は可愛いが、箱を開けてみりゃとんでもねぇ女だ」

「そのようだね」

「恨むんならその女に目を付けられた自分を恨むんだな」

「…」

「あー、あの女よりあんたのほうがいい顔してるのに、もったいねぇ」


気持ち悪い顔を浮かべる仙道に、嘔吐くのを抑える。

恨むなら自分を恨め?

バカも休み休みに言え。

こちらに落ち度はまったくないのに、何故自分を恨まなきゃならない。甚だおかしい話だ。



先程の話で、この拉致は些か急に決まったことだと分かった。まだ体制が整ってないんだろう。

危険な賭けだが、動くなら今か。





東堂にはSOSの暗号がある。

それは言葉だったり、動きだったりといろいろだが、言わずもがなこの決まりは東堂の人間しか知らない。

組の関係者ならそれぞれのサインがあることは認知済み。だから人質から目を離したりせず、相手の動きに敏感なのだ。



結束バンドで縛られている手を駆使し、奴らに見つからないようにスカートのポケットから携帯を出す。

携帯を奪わないところも浅はかだ。こいつらに
脳みそはないのか。それとも、この状況で連絡なんてできないと思ったか。

まぁ、私たちがビビッて萎縮していると思い込んでいるところは有難い。


画面が見えないので、仮定して操作しないといけない。指紋でロックを解除し、1番最初の画面から順番に画面を押していく。

あぁクソ。スマホって文明の開化だとは思うけど、ボタンがないから押せているかどうか分からない。

ツーコール鳴らして一旦切り、そのあとワンコールでまた切る。

正直、あまり自信はないが、うまくいっていればこれで陽ちゃんにSOSは伝わったはず…。



が、

「テメェ!!何してんだ!!」

見つかった。