キッと真下を睨むが、愁さんは飄々とした顔で私のスカートの中を覗いている。やめろ。
しかし顔が良すぎて何を言っても下品に聞こえないのはなんなのか。不公平だ。
「意外と黒とか履いててほしかったけど」
「パンツの話やめませんか!!!」
ていうかあなたがそういうキャラだと思ってなかったので頭が破裂しそうなんですよこちとら!!
出会った頃の儚いあの感じはどこへ言ったのか。
いや、今でもそういった雰囲気を出すときはあるが、あの4人と話しているときみたいに関係性が和らいだのは事実。
事実だが、パンツの話はぶっ飛びすぎだ。
「ほら、早く落ちてきなって」
「簡単に言いますね!!」
私は今30cmのヘリにしゃがみこんでいる状態。少しでも力を入れれば簡単に地に落ちることができる。
が、後ろ向きで落ちるの、怖くない!?
あぁ、今までいろんな修行をしてきたけど、2階から後ろ向きで落ちる修行なんて今までしたことがない(当たり前だ)
こんなことなら逃亡方法もちゃんと修行しておけば良かった。
自分の修行人生を悔いていると、
「カァ-」
「ぎゃあ!!」
カラスが横を素通りしていき、
「あ」
それにびっくりした反動で完全に身体は宙に浮いていた。
いや、浮いてなどいない。
落ちてる。
あーーーーーー。
死んだ。
ドサッ
「さすがに合図してから落ちてきてくれない?」
が、私の身体は地面に不時着することなく、しっかり愁さんの腕の中。
反射的に愁さんの首に腕を回していて、とてつもなく密着しているのだが、今の私はそれどころではない。
「しゅっ…!」
「はいはい」
「し、死ぬかと…!!」
「はいはい」
自分の意図と違うタイミングで落ちたものだから、頭は大パニックだ。
心臓はバクバクいっている。
意外と高かった。内臓がひゅってなった。
「うぅ…」
「落とすわけないでしょ」
「うぅ…目はしみるし…」
「まじであの赤いの何…」
「…愁さんいい匂いするし…」
「……あほか」
なんだろう。なんの匂いかは分からないけどいい匂いがする。
心做しか愁さんの顔は少しだけ赤くなってい…
「いやちっか!!」
もう自分の心がパニック大爆発を起こしていてそれどころじゃなかったけど、なんだこの体勢は。
「なにうるさい」
「そろそろ下ろしてください…」
私を受け止めて、そのままスタスタ歩いている愁さんは一向に私を下ろす気配がない。
「…」
し、なんのこと?とでも言うような顔をしていらっしゃる。
いや、なんのこと?やあらへんがな。
もうほんとに大丈夫です、と言おうとしたその時、
「うわー、先越されたかー」
金髪タレ目も選ばれていたようだった。
