狂気のお姫様

「そのドアね、中から鍵閉めると、外からしか開けられないんだって」


だからどれだけドアを揺らしても、押しても、鍵を回しても、無駄なのだ。


「は!?なにそれ!壊れてるじゃん!」

「まぁまぁ、あとで蹴破ればいいんだって」


男たちは悠長にかまえているが、この学校の窓やドアの強度は高い。蹴破れるかどうかは微妙なところだがな。



ていうか、そんな教室で私が何をしていたか、気にならないのだろうか。


「くそ!もし人が来たらどうすんのよ!」

「私たちのせいになるじゃん!」

最低なことを言っているが、男たちはそんなこと気にしていない様子。


「こんなとこ誰も来ねぇって」

「だって天がいる校舎だぞ?」

「そうだけど…」



うん。その天がたまに覗きにくるんだけどな。

あの銀髪とか。




「ほんと最悪!」

「とっととそいつやって早く出ようよ!」

「分かってるってー」


こんな最低な会話をちゃんと静かに聞いてあげる私、優しくない?

いやでも、鍵が閉まっちゃったのは私にも不利ではあるしなぁ。さてどうしたものか。



そしてだ。

こないだ3年生もボコボコに殴り潰しちゃったし、そろそろ私の噂もまわりそうなんだよな。まぁ、見た目はそんなことしなさそうなタイプだ(と思う)から噂が回ったとしてもひとまずはみんな信じそうにないけど。

こいつら鹿島杏奈直属の部下だしなぁ。鹿島杏奈に知られたら、もっと表に出てこなくなりそうで嫌なんだよなぁ。



「さ、東堂さん、楽しもうね〜」

そんなこと考えてる場合じゃないか。

面倒だしちゃっちゃとやって脱出しよう。




カツンッ

傍に落ちている箒の柄を足で飛ばしてキャッチする。


「わ!やる気だ東堂さん」

「武器なんて持ったら危ないよ〜?」

てめぇらの頭が危ないわ。

「やば。あんな武器持って勝てる気でいるのかなあいつ!」

逆にこの雑魚どもだけで私にかなうとでも思ってるのか。




「ほらほら、その武器渡して〜」

1人の男が私の手から箒を奪おうとしたその瞬間、私の中でゴングが鳴った。





ガスッ

「ヴッ!!!!!」

素早く箒を横にして、男の鳩尾を突くと、ちょうど肋が分かれているところに入ったのか、そのまま膝から崩れ落ちる。


「ウゲホッ!!!ゲホッ!!!」

やばい。

今の超気持ちよかった。



「ちょ、お前やられてんじゃーん!」

外野はまだ悠長に笑っていて、

だが、



ガンッ


私がそいつの顔を下から蹴りあげ、吹っ飛ばした瞬間、全員の顔から笑顔が消えた。



バンッ

「……」


少し浮いてそのまま仰向けに倒れた男は、口から血を少し垂らしたまま横たわっている。


「あちゃー、気絶しちゃったか。力加減難しいなぁ」

顎の下って柔らかいし蹴りやすいからなぁ。足の爪先入れすぎちゃった。