狂気のお姫様

あの空き教室には、いろんなものを置かせてもらっている。

この学校には空いてる教室なんてたくさんあるし、ほとんどが物置状態になっているので、誰かに盗られる心配もない。

おまけにこの校舎は天がいるし、こんなところまでわざわざ来る奴は、彼らと喧嘩がしたい奴かただのバカだけだろう。




しかしだ。


「お、いたいた東堂さん〜」

「うわ!まじでいたよ!」

「今日も可愛いわー」


これはちょっと予想外。


「こんなところでなぁにしてんの?」


頭の悪そうな男が4人ニヤニヤ顔で教室に入ってきたと思ったら、そのあとをこれまた頭の悪そうな女が2人入ってきて、一気に教室の人口密度があがる。


「やるじゃんあんた」

「まじでたまたま見かけたんだよな。東堂さんがここに入ってくるの」

が、状況を掴むのは難しくない。


この女2人は鹿島杏奈の取り巻きでいた気がするし、この男たちもクラスは違うが多分同級生だ。

鹿島杏奈に唆されて私が一人のところを狙ってきただけのクズ男とクズ女というオチだろう。

本当に、なぜこうも面倒事が次から次へと舞い込んでくるのか甚だ疑問だ。



「…」

「あれ、ビックリして声も出てないね」

「可愛い〜」



うーむ。

一応ほとぼりが冷めるまで情報収集は怠ってはいなかったのだが、全校生徒を見張ることなんてできないので必ず漏れはある。

そう、こんな感じで。




「東堂さーん?大丈夫?」

ま、こんな雑魚が漏れていたところで私になんの支障もないのだが。

ほんと、知能数が低すぎて言葉が出ない。



「何の用?」

ため息をついてそう聞くが、彼らのニヤニヤは止まらない。

「いやぁ、俺ら東堂さん狙っててよ」

あたしゃ野生の動物か。

「そしたら、こいつらも東堂さんのこと気に入らねぇって言うし、一石二鳥だろ?」

まず『一石二鳥』という言葉を知ってたことに賞賛。その脳みそでよくこの言葉が出てきたものだ。



「ふぅん」

どいつもこいつもつまらないなぁ、と空返事をすると、鹿島杏奈の取り巻き女2人は勝ち誇ったような笑みを向けてくる。


「そんな態度でいられるのも今のうちだから」

「ほんとその態度気に入らない」


それはこっちのセリフなんだがな。


「私なんかしたっけ」

ほんと、あんたたちに何かした覚えは全然ないんだけどな。


「は?杏奈いじめてるでしょ」

「いつ?どこで?」

「とぼけるなよ!」

「とぼけるも何も心当たりがまったくないし、鹿島さんと話したいと思ってないから全然関わってないのに。だからいつどこでって聞いてるじゃん」

そう言うと、

「女って怖いわ〜」

と隣で男たちが笑っているが、本当に怖いのはここからだと思うんだがな。

「は、話したくないって!」

「事実だけど。私から話しかけたことないと思うし」

「じゃあなんで杏奈が傷つくのよ!」

知らねぇよ。

ほんと、味方を疑うことを知らない奴らだ。

仲良しこよしの友達ごっこが相当楽しいらしい。