狂気のお姫様



「ガラ悪…」

「こっちも人のことは言えない高校に通ってるけどな」

「でもなんか品がないよな」

「品がある不良もなかなかいないけどな」

「見ろよあの髪色」

「あんたの髪の毛グレーだろ」


自分のことを棚にあげまくる蘭にツッコミを入れつつも、確かに彼らの典型的な不良感は否めない。

ちなみに、城ヶ崎でいう天のような存在は西城にもいるらしく、恐れられているようだ。

ただ、私が言うのもなんだが、実力はそんなにないだろう。天のあの5人は、稀に見る異常な存在だと思う。

天を倒せば城ヶ崎を潰したも同じなので、西城含む他校の不良たちから狙われることもよくあることらしい。

と、陽ちゃんが前に言っていた。



「あれ、かなみんどうした?」

「ん?小田?」

そういえばさっきから静かだな。

既にクレープを食べ終わった小田は、どことなく微妙な顔で彼らを見つめている。


「いやー…」

「?」

「私の彼氏…西城なんだよなー…」

「え!?」


腕を組む小田に、目を剥いて驚く私と蘭。


「ちょ!かなみん!まじで!?」

「まじで」

「し、知らなかったわ」

「言ってなかったもん。しかしやっぱり評判悪いよな」

「悪いよ悪すぎる。かなみんの数学の成績より低いわ」

「それは低すぎない!?」

成績のことを言われ、半泣きの小田は面白いが、まさかすぎて驚きが止まらない。

なんだか知らないが、小田の彼氏はちょっと頭良い学校に行ってる爽やか系の人だと思ってた。


「イメージつかないんだけど」

「そんな他の人みたいにグレてはないと思うよ」

「逆に今あそこにいる奴たちみたいな人と付き合ってたら人間疑うかも」

「ていうかだよ。面倒事をこよなく嫌うかなみんが西城の奴と付き合うってのが…」

「だってまさか先輩が西城行くとは思わないじゃん」


人のクレープにまで手を出そうとしてくる小田のおでこにデコピンをお見舞し、最後の一口を頬張る。


「あ!私の一口!」

「なんでだよ。私のだわ」

「この世の全ての最後の一口は私のものだって決まってるから。縄文時代から」

「お前何歳だよ」



そんなことをしているうちに、西城の生徒はいなくなっていて、そういえばこんなところに何の用があって来ていたんだろう、とふと考える。


「かなみん…気をつけなよ」

「え、ありがと。でも大丈夫だよ。私のこと言ってないっぽいし」

「それはそれでどうなの。他の女に言い寄られたりするんじゃ…」

「女子全然いないでしょあそこ。それにザ・普通の顔だから大丈夫」

「うわ、かなみんらしい」


見られたところでどうなるかは分からないが、一緒に帰るときも一応他の生徒に見られないように待ち合わせして帰ってるらしい。


「ていうか…」

「ん?」

「かなみん、西城って…」

「なに?」

「いや…、俺の勘違いかも」


少し考える素振りを見せる蘭は、首を傾げる。

あぁ、なんだか面倒事の予感。