狂気のお姫様

「疲れるんだよな」

「?」

「相手の理想に合わせてしまう自分がいて、疲れる」


私の机に頬杖をつく小田は、深くため息をつく。


「素の自分が出せないというかなんというか」

「小田が?」

「そう。あの小田が」

「えー。それ楽しいか?」

「楽しいと言われれば楽しいけど、ただ1人になった時に疲れるかなー」


小田は、できるだけ平穏に、面倒事は人に任せるドクズタイプなので、人に合わせるというのは本当に苦手なのだ。

それを彼氏にしてしまうとなると、ストレスは大きいだろう。


「別れるとか考えないのか?」

「考えてないね」

「なんで?」

「嫌いじゃないし」

「ん?好きだから付き合ってるんじゃなくて嫌いじゃないから付き合ってるのか?ん?俺分かんなくなってきたぞ」


小田の返答に、ハテナ顔の蘭。

蘭は素直だからな。疲れたら疲れたって言うだろうし、そもそもピュアすぎて自分を偽るということ自体できないだろう。


「なんか会ってみたいんだけど。小田の彼氏」

「会ってもいいことないよ。私が」

「お前がかよ」

「人に彼氏会わせるのって恥ずかしいだろ」

「それはまぁ」

「でも最近、東堂に会いたがってんだよな」

「えっ」

それは初耳だ。

「なんで?」

「私の友達に会ってみたいんだと」

「えー、会ってもいいことないよ。小田が」

「激しく同意」


彼女の友達に会ってみたいなんて、献身的な彼氏じゃないか。知らんけど。

彼氏が誰と友達だろうが絶対に興味がないだろう小田とは大違いだ。

全然小田の彼氏のことを知らないが、いい人なのかもしれない。


「え、俺は?」

「蘭くんに会いたがるわけ」

「なんでだよー!俺も友達だろ!」

「そもそも彼氏に男紹介しないだろ」


ぶーぶー言う蘭のおでこを、また小田は人差し指でグリグリ。


まぁ、私が小田の彼氏と会うことなんてないだろうけどな。友達の彼氏と会っても何をどう話せばいいか分からないし。



とか、言ってたら会うんだけど。