狂気のお姫様

【side 如月陽介】


《人の携帯に何してくれてんだテメェ!!!!》

ガツンッと携帯から衝撃音が聞こえたと共に、誰かが蹴られた音と幼馴染の怒号が聞こえ、あぁこいつら終わったな、と手を合わせる。南無三。



《携帯は女子高生の命だぞ!!!!》

俺らの態度に怒って律の携帯を投げたのだろう。最初の衝撃音は多分その音。

が、あの携帯、律がジローさんにねだってねだってこれでもかというほどねだって買ってもらった携帯なのだ。

それを男は無惨にも叩きつけてしまった。

うん。まじで終わったな。



「なに?何が起こったの?」

律の怒号が聞こえたのだろう、ババ抜きをしていた夕と蓮、愁が興味津々にこちらを見ている。


「あー、律、ご立腹」

「なんで?」

「多分携帯叩き割られた」

「え、まじで?携帯は女子高生の命なのに?」

え、それ有名なの?携帯って女子高生の命なの?知らなかったんだけど。



「すっごい暴れてね?」

叩きつけられたということは画面は割れているだろうな。しかし電話がまだ繋がっているということは壊れてはいない。不幸中の幸いといったところか。



《ひぃっ!!!!たすげグェッ!!》

《うるさい》

《ガンッ!!!》



「あ、1人死んだね」

さっきからとてつもない物音と、男たちの叫び声が聞こえてくる。


「り、律さん?まぁその辺にしておいてだな」


死人が出そうなので一応止めに入るが、俺の声は聞こえないようで、相変わらず殴る音が聞こえてくる。

俺らに手が出せないから律を利用したんだろうが、相手が悪かったな。律は簡単には利用できない狂犬だ。

いつもご苦労なことだ。

2年である俺たちがここを陣取って天だのなんだのとチヤホヤされているのが気に入らないのだろうが、やり方が汚い。

そして1年の女にまで殺られてしまう弱さ。

まぁそれは律が規格外なだけだが。

あぁ、滑稽だ。





《そもそも人質なんてとるのが卑怯なんだよ男のくせに》

それは間違いない。

《しかもその人質よりも遥かに弱いなんてあんたら本当に男?》

それも間違いない。

《男じゃないよねー。あぁそうだよね。今から切り落とそうか。それ》

「律ちゃーーん!ストーップ!!!それはやめよ!!!!それはやめてあげよ!!!!!!」