「蘭くん、あの5人怖くないの?」
「えー、怖いかな?愁さんはなんかよく分かんねぇけどー。かなみん怖いの?」
「そりゃ怖いでしょ!特に羽賀さんと四ツ谷さん」
『かなみん』と呼ばれている小田に違和感を感じながら、残り少ないおかずを頬張る。
「鳴さんはなー、自分のコミュニティ以外の人には冷たいと思うぞ」
「そんな感じするわ」
女でさえ手をあげるもんな。
「愁さんはー、んー、物静かに見えてよく喋る」
「え、意外」
「あとよくカレーパン食ってる」
大好物だもんな。
話を聞くところによると、あの5人に可愛がられている様子。まぁ、そんなキャラしてるもんな。大型犬みたいで。
「律の話もよく聞くぞ?」
「私の?」
「とんでもねぇ破天荒だ、とか」
「よく言われる」
「ガン垂れてくる顔がブスだとか」
「シンプルに悪口」
今のは絶対陽ちゃんだ。あいつ、人様になんてこと言ってやがる。
「まじでどんなゴリラかと思ったけどさー、ちゃんと女の子だったから俺びっくりしちゃってよ」
「誰がゴリラだ」
「まぁゴリラであながち間違いでないよ蘭くん」
小田コラ。
「小島さんと廊下で修羅場ってるとこ見たのが初なんだよ」
「鹿島な」
「小島…!!!!!!!」
笑い転げながらバンバン机を叩く小田に不思議そうな顔をする蘭。もうお前名前覚える気ないだろ。
「ちょっとあの子めんどくさいよなー」
「あー、思ったんだ」
「なんかな、話が通じねぇの」
こいつに言われたら終わりだな。
メガネをくいっと上げる蘭は、私にくれると言っていたパンの部分もあっという間に口に入れる。いや別に欲しくなかったけどさ。
「そういえばなんでメガネ?コンタクトにしないの?」
「目に異物混入って怖くね?」
「異物じゃないけどな」
「意外といけるもんだよコンタクト」
「えー」
「長谷川さんコンタクト?」
「兄貴は裸眼で両目ともいいんだよな」
「あー…そんな感じするわ。な、小田」
「分かる。野生児だもん」
「え、俺の兄貴って野生児なの?」
なんだろう。まだ蘭は話が通じる。まだな。しかし奴は話も通じないのだ。きっと野生で生きてきたに違いないのだ。
「本当のお兄ちゃんなんだよね?」
「おう!そうだぞ!!」
超失礼なことを聞く小田。
まぁ顔立ちは少し似ていると思うので紛うことなき本当の兄弟だろう。ピュアだし。
いやぁ、世界って不思議だなぁ。
「ちょっとメガネ外してみてよ」
多分これは、小田の興味だったのだろう。
そして私もちょっと気になってた。
メガネをかけていても顔が綺麗なのは分かっている。分かってはいるものの、やはり外したところも見てみたいではないか。
「メガネ?全然いいけど」
そう言って蘭はなんの躊躇もなくメガネを外した。
が、
「これはダメだな」
「ダメだわ」
「え、なに。なんだよ」
「「超かっこいいわ」」
長谷川兄妹、恐るべし。
