「ひどいなぁ」とかなんとか言いながら前を歩く鳴さんにちょこちょこと着いて行き、しばらくすると保健室に着いた。
「あー、あったあった」
戸棚をガサゴソ探る鳴さんは何回か保健室に来ているみたいで、どこに何があるか分かっている様子。
「くそ。パンツまで濡れてやがる」
「こら、女の子がパンツ言わない」
「鳴さんパンツ」
「知らなかったかもしれないけど俺はパンツじゃないよ」
「それは知らなかった」
タオルとドライヤーを引っ張り出してきた鳴さんは、椅子に座る私の頭にパサッとタオルをかけた。
「えーっと、とりあえず脱ぐ?」
「変態」
「えー、脱がなきゃ風邪ひくじゃーん」
「顔が変態」
ニヤニヤしてんだよテメエこの野郎。
「顔がってひどくない?」
「鳴さん服貸して」
「いきなりの追い剥ぎ」
「貸して貸して貸して」
駄々をこねてみるも、カーディガン以外は貸してくれないようで、心の中で舌打ちをする。
あの女たちから服を剥いでくれば良かったか…。いやだめだ。あいつら汚かった。
「とりあえず拭くよー」
そこからは、されるがまま。
頭にのっかっているタオルで髪の毛をかしかしと拭いてくれる鳴さんはお兄ちゃんみたいで、これがかの有名な最恐と謳われている天か、と疑ってしまうほど。
そして、ブォー、とドライヤーまでしてくれるので、女の子の扱いがとことんうまい。
こりゃ女もわんさか寄ってくるわけだ。その女たちの扱いは酷いものだけど。
ブォー
「…」
なんだか乾かされるのが気持ちよくて、目を瞑って身を任せていると、まだ乾いていないのにドライヤーの風が止む。
目を開けて鳴さんを見上げると、ほんのり頬が赤くなっていて、ドライヤーを持っていない方の手で口元を覆っていた。
「なんですか」
「…いや、今普通に可愛かった」
「え」
急に真面目な顔してそう言われ、目を見開いたと同時にボッと自分の顔が赤くなるのが分かった。
「え」
顔が赤くなった私を見て、今度は鳴さんが驚く番。
「照れられると思わなかった」
「…いや、真面目に言われたら普通に照れますけど」
「かわい…」
「やめろ」
私だって照れるさ。だって女の子だもん。
その時々のシチュエーションにもよるが、そんな真面目に言われたら普通に恥ずかしい。自分の顔が整ってると自負していても恥ずかしい。
「ぁー…やべ、殺されるな俺…」
なんだかボソボソと呟いてる鳴さんは、頭をガシガシと掻いていて、余裕がなさそう。
「はぁー………勃つ」
ド変態じゃねぇか。
