狂気のお姫様

「きゃははははは!!!」

女たちの高笑いが外から聞こえる。

おまけに、とでもいうようにバケツまで放り込まれ、頼りない傘にバウンドして床に落ちた。



「あれぇ?もしかして人いたぁ?」

頭の悪そうな声に、小さくため息が漏れる。



あーあ。やっぱり濡れるか。

大きめの傘だったら全部防げたかもしれないが、そんな傘を持って校内をうろつくのは些か変だし、相手にも警戒されるだろうということで、この小さな傘で身を守ったのだが…。

膝から下はびしょびしょ。靴の中は浸水してるし、スカートだって少し濡れている。


昨日の彼女たちのトークによると、私が1人でトイレに入ったら水をかけよう、ということだったらしい。大体トイレときたら水なので、こうやって対策もバッチリ…いや濡れてるからバッチリではないが…もうちょっと頭をひねって挑んでほしいものだ。


はぁ、それにしても、分かってたけど腹立たしい。

この水だって綺麗な水か分からないし、バケツが当たってたら怪我してたかもしれない。


「あれぇ?返事がないねぇ〜」

「第二弾いっちゃう?」


私が黙っていることをいいことに、もう一度水をかけようとする頭の悪い女たち。


こんなことに労力を注ぎ込むぐらいなら勉強して社会に貢献しろ。

さて、第二弾が来る前に顔を拝見してやろうじゃないか。




バンッ

勢いよく開けた扉に驚いた顔は3つ。

こんな狭いところに押しかけてくるなよ、と思いつつ、もうこいつらは袋のネズミ。


「は、え、傘?」

うるせぇな。

傘に驚いてるお前らにリアクションをあげるほど私は寛大ではないのでね。

「濡れたじゃねぇかコノヤロウ」

第二弾のつもりだったのだろう、水が大量に入ったバケツを持った女に蹴りを入れると、

バッシャーーン!!!!!

そのまま倒れ、バケツの中の水が3人に派手にかかった。



「きゃあぁあ!!きたな!!ちょっと!!最悪!!!」
「何してくれてんのよ!!!!!」
「さいってい!!ふざけるな!!!」


それぞれに綺麗に罵倒されるが、おい、やっぱりこの水汚いんじゃねぇか。


「はぁ?人に同じことしておいて、自分たちがされたらキレるっておかしくない?」


至極真っ当なことを言っているのだが、バカだから伝わらないかな??


バサッと傘を畳む。

いやぁ、本当にイライラするなぁ。

こちとらブチ切れなもんでな。ローファーの中の浸水度は100%だし、もう使い物にならない。どうしてくれるんだ。