狂気のお姫様


「やばい!やばい!」

1人の男子が教室に走り込んできた。

あまりの声の大きさに、なんだなんだ、とみんなが目を向ける。


「聞いてくれよ!裏庭通りかかったら穴があってよ!!そこに死体が何個も埋まってたんだって!!!」


思わず小田と顔を見合わせる。

いや、恐らく死体ではないと思うが、死んでるように見えたのだろう。犯人は絶対にあの2人だ。


「絶対あの2人じゃん」

「圧勝のようで」

「ていうか今見つかったってことは…」

「一晩気絶したままだったってことだね」


相当懲らしめたんだろう。一晩起きないなんてなかなかだ。

というか、落とし穴に残骸をつめるあたり、やはり天の2人なんだなと思わされる。やり方が惨いというかなんというか。

そもそも落とし穴を掘る意味が分からないけどな。


「如月さんが出られないような穴つくるって言ってたから、相当大きいのができたと思うんだけど」

「雑魚たちのせいで陽ちゃん助かったね」

「でも死体が詰め込まれた落とし穴って、見るだけでトラウマになりそう」

「間違いない」


みんなどうせ天の仕業だと分かっているだろう。この学校でそんな破天荒なことをする輩は奴らしかいない。

チラホラと、野次馬たちが教室を出て行く。

みんな物好きだなぁ。

ていうかその死体たち、目を覚ましたときどうするんだろ。そそくさと帰るのだろうか。まぁ、私には関係ないけど。




「あ、今なら売店混んでないかも」

ふと、今日お昼を持ってきてなかったことを思い出す。

「あー。みんなあっち見に行ってるかもな」

「ちょっと行ってくるわ」

「いってらー」

売店は混むからな。できれば行きたくなかったのだが、丁度いい。今ならすいてそうだ。





そして案の定、いつもよりかは混んでいない。

ちゃっちゃと買って戻るか、と無難にパンを買って教室に戻ろうとする。

が、ここは売店。全学年が集まるところだ。


「うそーーー!!!」
「超珍しいんだけど!!」
「やだ、今日ラッキーすぎる…」
「こんなツーショットが見れるなんて!」
「抱いてほしい…」
「かっこいいんだけど!!!」



「律。カレーパンなかったんだけど」

急にかかった体への負荷と共に、耳元で不満げな声が聞こえた。