狂気のお姫様

「ということがあってだな!!」

興奮気味に話しかけてくる小田の鼻息がうっとうしいので顔を押しのけるが、性懲りもなくまた顔を近づけやがる。殺すぞ。


「まじで死ぬかと思った」

「はなから逃げる気だったろ」

「当たり前だろ」




小田が言うには、昨日ロケット団に会い、その敵が奇襲に来たと。

それ、ロケット団の敵って、言わば味方なんじゃ…と思うがそれは言わないでいてやろうと思う。


「長谷川さんが隠してくれなかったら私も巻き込まれるところだったんだよね」

「へぇ、そういうとこちゃんとしてんだねあの人」

「以外だよね」

「頭回らなさそうなのに」

「まぁ、佐々木さんが隠してくれてもあの人ちっちゃいから私はみ出るしな」

「間違いない」


佐々木夕よりも小田の方が小さいが、廊下の方が段になっていて高いのでどうしても小田がはみ出てしまうのだ。

はみ出る小田を想像して笑ってしまった。


「あーあ。鳴さんもそれぐらい気使える人だったらな」

「いや、東堂だったらみんな敵の前に出すだろ」

「差別」

「私は弱小だからな」

「逃げ足は早いけどな」

「誇るべきところだろ」


ていうか、私がいないところで天の2人に遭遇するなんて、こいつ、私のハプニング体質うつったか?

あの2人と陽ちゃんだったら害はないし大丈夫だろうけど、残り2人に遭遇した暁には失神するんじゃ。

そもそも鳴さんは怖くないけどな。たまに理不尽なだけで。


「ここの学校の人たち?」

「んー。分かんない」


前に羽賀愁を襲った人たちはここの学校だったが、あの人たちなら他の学校の人たちにも狙われそうだ。しかも案外この学校、簡単に不法侵入できるので、もしかしたら違う学校かもしれないな。

いやぁ、天も大変だねぇ。


「でも、なんか声で雑魚っぽかった」

「声で笑」

「口調がださいのよ」

「なんとなく分かるかも」

「ね。雑魚って口調がださいよな」


まあまあ失礼なことを言っているが、小田がこう言っているのだから多分圧勝だろう。2人の喧嘩は見たことはないが、見ただけで強いというのは分かるし。

そんな2人に喧嘩を売るなんて命知らずなバカだな。


「やっぱりあの人たち、バカなだけじゃないんだなって思ったわ」

まあまあ失礼なことを言っているが、あの2人に関しては私も本当にバカだなと思っていたので否定はしない。

「そもそも落とし穴つくるってのが」

「そんな発想思い浮かばないよな」

「思い浮かんだとしてもしようとは思わない」

「激しく同意」

そんなバカ2人が喧嘩できるのかは甚だ疑問だが、天と言われるだけその質はあるのだろう。

多分。