「その人もう死んでないですか…」
「これ?」
羽賀愁が掴みあげている男は本当に生きてるのか分からないほどで、それをまだ殴ろうとしているのだからこの人の異常さが目に見えて分かる。
「つまんな」
そう言い放ち、ポイッと掴んでいた男を捨てる羽賀愁は、返り血一つ浴びていない。
はっきり言うとスーパーウルトラ超絶怖い。
よくもまぁこんなにボコボコに…
「律だけには言われたくないけどね」
「なんでですか」
「律の方が酷いから」
「いやいやさすがにここまでは」
「血祭りだし」
「あれはたまたまです」
と言いつつ、記憶を手繰り寄せてみると、大体血祭りにあげているかもしれない。
ていうか私はさすがに意識失ってる奴を殴るような非道さは持ち合わせていない…、と思う。
「さて」
「あ、もういいんですか」
「だって律来たし」
「あ、すいません」
「別に」
無惨に転がった屍を踏まないように飛び越え、スタスタ歩いていく羽賀愁に着いて行く。
あ、やば、踏んじゃった。
お、あぶな、ちょっと、これ踏まないで進むの難しいんだけど。
「グェッ」
あ、また踏んじゃった。
わざとじゃないのよう。ごめんなさいね〜。
「ヴッ」
「あれ、また踏んじゃってた」
恨むなら羽賀愁を恨んでくれよ〜。
「まじで何してんの…」
気づけば羽賀愁がこちらを哀れな目で見ていて…、ってあんたのせいだよ!!!!
大男1人飛び越えるので精一杯なのに何人もいたらそりゃこうなるだろ!!!
「ほら早く」
「わ、っとと」
クンッと手を引かれてバランスを崩す。
転ぶかと思ったが、私が倒れないようにスッと肩を支えてくれた。
「ど、どうもです…」
「ん」
「え、あの」
「ん?」
「いや」
何故か手は繋がれたままで、もしかして気づいてないのか?と思いつつ話しかけるも、当の本人は素知らぬ顔。
いやいや、気づいてないとかないよな。だって手繋いでるんだぜ。いや、繋いでるっていうか掴まれてると言った方が正しいけど。
え?これこのまま?このまま移動するの?どういう状況?ていうか私男の人と手繋いだことないかもしれない。あ、陽ちゃんとちっちゃい頃繋いだことあるわ。
いやいやそうじゃなくて。
ていうか羽賀愁の手すっべすべなんだけど。どうなったらこうなるの。前世天使かなんか?
「律、顔きもいけど」
「羽賀さん、顔笑ってますけど」
この人絶対わざとだ!!!
