狂気のお姫様



「あの子かな?」

「でしょうね」

「律ちゃん本当に嫌われてるね?」

「私何もしてないんですけど」


ミッションは終了したので、教室に戻ろうとするが、何故かついてくるこの男。


「だって律ちゃん可愛いもん」

「どうも」

「反応は可愛くないけど」


もはやこんなに素を出してるのにいきなり可愛く返事しだしたら怖いだろうが逆に。


「まぁ近々また何かしら仕掛けてくるのではないかと思います」

「学校は壊さないようにね」

「誰が怪獣ですか」

「言ってないけどね」

「ていうかいつまでついてくるんですか」

「えー、冷たいなぁ。もうちょっとお話したいとかないの?」

「ないです」

「めちゃくちゃはっきり言う」


もはや諦めの域ではあるものの、あんたたちと話してるところを誰かに見られたらまた騒ぎになるんだよ。早く屋上にでも行け。

あ、そういえば。


「羽賀さんに聞きたいことがあるんだった」

「愁?珍しい」

「ものすごく勇気はいるんですけど、気になることがありまして」

「愁なら屋上にいると思うけど」

「それはハードルが高いな」

「呼び出す?」

「それは恐れ多いな」

「ちなみにあいつ今は機嫌が悪いと思うよ」

「怖い無理」

もともと怖い人の機嫌が悪いとかもう破滅級に怖いではないか。

「んー、でも律ちゃんに会ったら機嫌良くなると思うけど」

「なわけあるか」

そんなヒーラーみたいな効果ないわ。仮にあったとしてもあの人には絶対に効かない気がする。


「何が聞きたいの?」

「鳴さんて鍵が壊れた空き教室知ってます?」

「何それ」

「…使えないな」

「バッチリ聞こえてるけど」

おや私としたことが。

やっぱりあの教室について知ってるのは愁さんだけなのかな。

「愁よく散歩してるからな校内」

「あー、よく遭遇する気が」

私が仕返ししてるときに乱入してきたり。


「だからまぁ、教室とかには詳しいかもね」

「なるほど」

「愁に会ったら言っといてあげるよ。律ちゃんが会いたがってたって」

「それはちょっと語弊がありすぎません?」

「俺に任せて☆」

「うわ絶対任せたくない」

パチンとウインクする鳴さんは、顔はかっこいいけどうざさは満点。

「ちょっと、ほんと余計なこと言わないでいいですからね」

「了解了解」

了解してねぇだろ絶対。

心の中でため息をつきながら、鳴さんの背中が消えるまでジトリと睨んでいた。