狂気のお姫様


「まぁ、多分私だってバレてるし、もう開き直るしかない」

「お、それでこそ律ちゃん」

「解せん」

「今度なんか奢ってあげるからさ」

「お金だけください」

「夢がないなこの子ったら」


うるさいな。ていうかあんたとどこかに行くとか注目の的じゃないか。絶対嫌だわ。



「もう行きますよ」

「待ってよ守護神」

「蹴飛ばしますよ」

「やっぱり俺に冷たくない?」

「まさかそんな先輩に冷たいだなんてははは」

「いや棒読み」


まぁ、あの時鳴さんに遭遇したのが運の尽き、といったところか。相手がただ私を嫌うだけなら良かったが、話を聞くところによると害をなす気満々だろう。そうなれば、やはりこちらも戦闘態勢に入らなければならない。


「ついてこないでくださいよ」

「ひど。俺が1人のときに遭遇したらどうすんの」

大の男が何を言ってるんだ。ていうかこの人まじで面白がってやがる。


「ていうか天の人たちに守ってもらえばいいじゃないですか」

「男に守ってもらうのは違くない?」

「いや女に守ってもらうのも違うでしょうよ」

「いや律ちゃんはほら」

「誰が守護神だ」

「まだ言ってないけどね」

「顔が言ってますからめちゃめちゃ」


はぁ、とため息をつきながら歩いてると、

「あっ」

「え、何、あっ」



数十m先、何故かうちの学校の制服を着て、前よりも青白い顔でこちらを睨む幽霊女。


「ミツケタ」


声は聞こえないけど、口の形でそう言ったような気がした。



「「こっわ」」

思わず鳴さんと声がハモったのは言わずもがな。


「え、俺あれ無理」

「私だって無理ですよあれは」

「怖いんだけど」

「天下の天が何言ってんですか自分の女でしょ!」

「出会った頃はもっと普通だったし」

「そうさせたのはあんただからな」

「罪な男すぎたかー」

「言ってる場合か」


そうこうしてる間に、ゆらゆらとストーカー女は近づいてきていて、

「まじでお化けじゃないですよねあれ」

「律ちゃんお化け嫌いなの?」

「非現実的なものは普通に怖いです」

「え、可愛い。お化け怖いの?」

「いやだから言ってる場合かって」


こいつアホなのか。この期に及んでアホなのか。



「鳴くん鳴くん。ほら、こっちにおいで」


いやまじでこっわ。