狂気のお姫様

「で?」

「なに」

「で?」

「だからなに」

「いいじゃん。長谷川さん」

「顔が笑ってんだよアホ東堂」


おっと私としたことが。無意識に笑みがこぼれていたことに気づいてなかったようだ。


「本当に意味不明なんだけど」

「いやそれには同感」


さすがに無自覚天然でもない限り、あれだけカバディしたら自分への好意には気づくはずだろう。そもそもなんなんだよ、カバディて。


「まじでなんで小田なんだろう」

「え、そこ?それは私がスーパーキュートな女の子だからだろ」

「それこそ寝言は寝て言え」


なんでこんな女?いやでも長谷川蓮もなかなかにやばい男だとは思うので、何を考えているのかは分からないが。


「私彼氏いるし」

「そういえば見たことないな小田の彼氏」

「見せたことないし」

「仲良いの?」

「そこそこ」

「え、そこそこなの?」

「うーん。まぁ」

「ほぼ一緒に帰ってるじゃん」

「家近いし」

「そういう理由?」

「いや、それだけじゃないけどさ」


と、何故か煮え切らない答えの小田。

なんだか分かんないけど、

「じゃあもう長谷川蓮でいいじゃん」

「お前面白がってるなコノヤロウ」


何がダメなんだよ。いやダメか。


「さすがに話が通じる人がいい」

「分かる」

「あと顔が良すぎて女からの僻みが怖すぎ」

「分かる」

「ていうか彼氏いるんだってば私」


せっかくこの学校に入ってはじめての色恋沙汰なのに、面白くないなこの女は。なんで彼氏なんかいるんだよ全く。


「顔はいいのに」

「顔はな」

「スタイルもいいぞ」

「でもたまにスーパー●イヤ人みたいな髪型で登校してるんだよ」

「それはやばい。直してやれよ小田が」

「いやあれは完全に重力にさからってるし、さすがの私でも自然の摂理にはさからえない」


間違いない。



「このままだと長谷川蓮が小田の彼氏の学校にカチコミに行く、に一票」

「うわ、やりかねないのが怖い」

「うわ、ていうかこれ恋バナっぽくない?すごくない?」

「レベル低すぎるだろ」

「私恋バナとかあんまりしたことなかったからちょっと興奮なんだけど」

「キモ」

「それで?2人の出会いは??」

「キモ。マイクやめろ」


ちぇ。ノリが悪いな小田のくせに。