「まあまあまあ。律ちゃんが髪染めなくて良かったよ」
「はぁ?」
なんで知ってんだよ。また陽ちゃんか。
「髪型変えられてたら直子さんが分からないかもしれないもんね」
「そのためにしようとしたんだわ」
「昨日愁と喋った?」
「その羽賀さんに止められたんですよ」
「なんて?」
「私の髪は黒いからそもそも色が入らないって」
「あー。それは確かに」
え、私の髪ってそんな黒いの?超日本人じゃん。
「ま、それは置いといて」
「気になるんですけど。強火ファンってところが特に」
「俺的に、直子さんこの学校に侵入してくるんじゃないかと思うんだよね」
「無視か」
「そこを律ちゃんが撃破。超いい作戦」
「あんたもしかして頭悪いな?」
誰だ。鳴さんが頭良いって言ってたやつは。小田か。学年上位だとしても知能数少なすぎるぞ。
「ちなみに携帯番号も登録しといたから。すぐ呼べるわ」
「着拒」
「校内放送で呼ぶか」
「それだけは勘弁してください」
本当にしそうだから嫌なのだこの人たちは。
「あー、まじで悪寒がする」
ぷるぷるっと震える鳴さんが怖がってるのは本当のようで、無敵の天でも怖いものはあるんだなと実感。
「これに懲りたらほいほい女の子に手を出さないことですね」
「えー、じゃあ律ちゃんが相手してくれる?」
「トランプくらいなら」
「平和」
「しかもトランプならみんなでできますよ」
「めっちゃ平和」
「私はババ抜きが好きです」
「何それ可愛い」
ババ抜きが好きだと言ったぐらいで可愛いと褒めてくれる鳴さんのタラシ度はレベルが違うなやっぱり。ていうかそこがダメなんだよ直せよ。
「そうやってなんでもかんでも可愛いって言うからですよ」
「あれ、今のは本心だったんだけど」
「はいはい。じゃあもう私戻りますから」
「冷たいなぁ律ちゃんは」
「鳴さんにだけですけど」
「えー、俺特別?」
「そういうことじゃない」
ゴロンと寝転がった鳴さんは、しばらくそこにいるようだ。
「じゃ、またねー」
「…」
また、はないと思いたいので無視してその場を立ち去る。
「ひどいなぁ〜」
と後ろから聞こえる声に、テメェの方がひどいわ、と心の中で悪態をつきながら教室に戻った。
