「高いやつじゃん」
「そうなの?」
「さすが如月さん」
陽ちゃんからの返事を見てうんうんと頷く小田をちょっとキモいなと思いながら教室を出る。
「でもなぁ、この色難しいかもしれないぞ」
「そんなのあんの」
「髪質によっては違う色になったりすぐに落ちたりするかも。東堂髪の毛真っ黒だしな」
「物知りみたいに見えるよ小田」
「私をなんだと思ってるんだ」
「アホの小田」
「そのままじゃねぇか」
まぁ、目的は目立たない程度に髪色を変えることなので、何色でもいいのだが、どうせなら陽ちゃんと同じ色にしてジローさんを驚かせたかったものだ。
「律」
ふと名前を呼ばれる。
反射的に声をした方を見上げると、
「あ」
出たレアポ●モン。
そして小田の霊圧が消えた。
「どうも」
「何してんの」
「今から帰ります…」
「律が髪染めるって陽介が言ってた」
「あ、そうなんですよ」
あいつなんでも言いやがるな。
それにしても非常階段からこちらを見下ろす羽賀愁は、今日も今日とて麗しい。銀色の髪の毛がふわふわと揺れている。
綺麗な色だな。奇抜な色なのに。
ただ、あの色にしたいとは思わないが。
「何色にすんの」
「陽ちゃんと同じ色に」
「ふーん。なんで?」
「え?」
なんで?なんでってなんで?
「目立たない綺麗な色なので?」
「律、真っ黒だからあの色は入らないと思うけど」
「小田にも言われました」
「黒のままでいいんじゃない?」
「えー。じゃあ切ろうかな…」
「ショートにすんの?」
「それもありかなと」
「せっかくそんなに長いのにもったいないよ」
確かに。もったいないという気持ちもないわけではない。
だけど、ずっと同じ髪型髪色なのも面白くないしなぁ。せっかく校則ゆるゆるの学校なんだし。
ていうかこの人、心做しかやめさせようとしてないか?気のせい?
もしかして、
「似合わないかな…」
ポツリとそう呟くと、その言葉は聞こえたようで、
「似合うと思うけどなんかやだ」
と意味不明な返事が返ってきた。
「はい?」
なんか、やだ、とは?
「とりあえず染めるのもナシ。切るのもナシ」
「えー…」
なんで私、自分の髪のこと人にきめられてるんだ????
「明日髪変わってたら剃るから」
「ほんとにしそうなんですけど」
ちょっとほんとに意味不明。何が気に入らないんだこの人は。たかが私の髪で。
「じゃ」
「え、あ、はい」
言いたいことだけ言って去った羽賀愁をよそに、戻ってきた小田の霊圧をキャッチ。
「うん。じゃあ、解散!」
「ちょっと、私の髪は」
「は?羽賀様が何もするなって仰ってたでしょ??命が惜しいの??」
コイツはこういうやつだった。
