窓枠に頬杖をつきながらふんふん話を聞いては相槌をうつが、やっぱりコイツ、クズだなぁ。
「四ツ谷さんて女の子が好きなんですよね」
「核心つくね」
しゃがみこんでいた四ツ谷鳴は、草の上で胡座をかきながら「うーん」と眉間に皺をよせて唸る。
その仕草でさえフェロモンダダ漏れなのだから、もう訳が分からない。
「好きだけどー、って感じ?」
「?」
「だって女の子、いいじゃん。柔らかいし」
ど下ネタじゃねぇか。
「モテるからなぁ俺。頭悪い女は嫌いだけど、やっぱりチヤホヤされて悪い気はしないでしょ?」
ドクズの考えじゃねぇか。
「でも律ちゃんみたいな達観してる女の子も好きだよ」
「達観て」
「ただ、手を出す対象ではないだけ」
「喜びます」
「恋愛対象ではあるけど」
「え」
「めっちゃ嫌な顔するじゃん」
「変化球が」
「そりゃ彼女にするなら頭悪い女じゃなくて、ちゃんと俺のこと好きになってくれるような子じゃないと〜」
「え…ピュア…?逆に…?逆にピュア…?……まさか」
「まさか、はひどい」
まさかすぎるわ。ていうかこの人彼女欲しい願望はあるんだな。ちゃんと恋愛する気があるなら女遊びやめればいいのに。
「まぁだけど、しばらくはチヤホヤされたいから彼女は後々かな〜」
「やっぱりクズじゃねぇか」
「気づいてなさそうだから言うけど声に出てんのよ」
おや、私としたことが。失敬。
そういえば、四ツ谷鳴とこんなに話したことなかったなぁ。いつも変なところで遭遇して煽られるだけだもんな。今のエンカウントもまあまあ変ではあるが。
「ていうか律ちゃんて俺のこと四ツ谷さんて呼んでたっけ」
「あー、そうですね」
「鳴でいいよ」
「めーさん」
「それはヤギ」
「鳴さん」
「それそれ」
若干ボケてもちゃんと突っ込んでくれるあたり、ちょっとこの人優しいのかもしれない。
それにしても良かった。頭の中で『四ツ谷鳴』とフルネーム呼びしてるのに、実際本人には『四ツ谷さん』と呼んでいたので、ごちゃごちゃになっていたのだ。本人からのお許しを得て下の名前呼びするのが1番楽である。
そんなことを思いながら世間話をしていると、
ガサガサッ
鳴さんが先程掻き分けてらっしゃった草むらから音がしたのでそちらに目をやった。
「鳴くん…!?やっと…やっと見つけた…!!!鳴くんったら隠れんぼうまいのね…?え?え?え?え?誰???その女誰??なんで私といるのに他の女といるの?ねぇ?どういうこと?」
あ、デジャヴだ。
