シン……と静寂が戻ってくる。
女の子が立ち上がってお辞儀をしても、公平と聖はピクリとも動けなかった。
「あの……、お耳汚し失礼いたしました」
控えめな女の子の言葉に、ようやく二人は我に返る。
「いや、えっと。素晴らしかった」
改めて二人で拍手を送ると、女の子はホッとしたように微笑んだ。
「最後まで弾かせてくださって、ありがとうございました。それでは、これで。失礼いたします」
またしてもペコリと頭を下げて立ち去ろうとするのを、慌てて二人で止める。
「ちょっと!お願いだから話をさせて。ほら、座って」
「え?あ、はい」
三人で椅子に座ると、興奮さめやらぬまま聖が話し出した。
「えっと、君。イスラ メイちゃんだっけ?」
「いえ、木村 芽衣です」
「ああ、そう。君があの音源のイスラメイを弾いていたのは、ようやく納得した。いや、ほんとのこと言うとまだ信じられない気もするけど……。とにかくイスラメイちゃんに、俺のピアノ伴奏をお願いしたい。いいかな?」
「はい、あの……。木村 芽衣でよければ」
「もちろん君がいい。いやー、もう今すぐ合わせたくてウズウズする。公平、なんか楽譜あるか?」
まるで子どものように目を輝かせる聖に、公平は思わずクスッと笑う。
「ああ、いくつか手元にあるよ。どれがいい?」
「どれでもいい。とにかくなんかよこせ」
「はいはい」
公平は書類ケースから楽譜を取り出すと、一番上にあった曲を聖に差し出した。
「《ラ・カンパネラ》か。よし、早速合わせてみよう。イスラメイちゃん、これを頼む」
「はい、えっと……。イスラメイではないですが、かしこまりました」
そうして二人は楽譜を手に立ち上がった。
女の子が立ち上がってお辞儀をしても、公平と聖はピクリとも動けなかった。
「あの……、お耳汚し失礼いたしました」
控えめな女の子の言葉に、ようやく二人は我に返る。
「いや、えっと。素晴らしかった」
改めて二人で拍手を送ると、女の子はホッとしたように微笑んだ。
「最後まで弾かせてくださって、ありがとうございました。それでは、これで。失礼いたします」
またしてもペコリと頭を下げて立ち去ろうとするのを、慌てて二人で止める。
「ちょっと!お願いだから話をさせて。ほら、座って」
「え?あ、はい」
三人で椅子に座ると、興奮さめやらぬまま聖が話し出した。
「えっと、君。イスラ メイちゃんだっけ?」
「いえ、木村 芽衣です」
「ああ、そう。君があの音源のイスラメイを弾いていたのは、ようやく納得した。いや、ほんとのこと言うとまだ信じられない気もするけど……。とにかくイスラメイちゃんに、俺のピアノ伴奏をお願いしたい。いいかな?」
「はい、あの……。木村 芽衣でよければ」
「もちろん君がいい。いやー、もう今すぐ合わせたくてウズウズする。公平、なんか楽譜あるか?」
まるで子どものように目を輝かせる聖に、公平は思わずクスッと笑う。
「ああ、いくつか手元にあるよ。どれがいい?」
「どれでもいい。とにかくなんかよこせ」
「はいはい」
公平は書類ケースから楽譜を取り出すと、一番上にあった曲を聖に差し出した。
「《ラ・カンパネラ》か。よし、早速合わせてみよう。イスラメイちゃん、これを頼む」
「はい、えっと……。イスラメイではないですが、かしこまりました」
そうして二人は楽譜を手に立ち上がった。



