「柚葉、荘司さん呼んできてくれる?」 「はい」 居間に行っても誰もおらず、自室の襖を開けると、まだ呼吸を整えていた旦那様。 「お風呂が沸きましたので、どうぞ」 「ありがとう。バタバタさせてしまってすまない」 襖の手前で跪いて開けたままでいると、何のアクションもなく素早い動きで通り過ぎていき、すぐに誰も居なくなると静かで冷たい空気が流れた。