それから布団をかぶって横になる。



「穂風…」



シクシク泣いてる穂風の後ろから抱きしめ、穂風の手を上から包んだ。



穂風が心の底から気持ちよく送り出してくれるまでは、俺もリアムに返事は出せない。



俺だって穂風とそんなに離れるなんて考えられねえけど。



それでもリアムとの仕事をやってみたい…。



自分のキャリアをもっと高めていきてえんだ…。



その日は泣き疲れて眠る穂風を抱きしめながらいろいろと考え込んで眠った。



それから数日が経ち、年を越した。



今年の年越しはナナでやった。



「夏葉、お前もっと飲めよ」



中尾さん…。



あんたはいつでもめんどくせえな…。



「中尾さん、あたしの彼氏にアルハラしないで」

「穂風ちゃん! 穂風ちゃんも飲む?」

「まだ19歳でーす」



あれから穂風は普通にしている。



だけど表面上普通なだけで、相変わらずまだ受け入れられないらしい。



全然会えなくなるわけじゃねえのに…。



多分ちょっと意地になってんな…。



俺もそろそろリアムに返事を出さないといけない…。



「3,2,1…あけましておめでとう!」



カウントダウンで迎えた新年。



ゲンさんから酒が配られた。



穂風にはパインジュース。



全員で乾杯した。



「夏葉、新年の抱負は?」



ゲンさんから聞かれ、ちらっと穂風の方を見てから答える。



「躍進の年にしたいっす。去年ありがたいことに写真に反響あったから…もっともっと桐本夏葉の名前を世界に広めたい」

「そうか。頑張れよ」



穂風はパインジュースを静かに飲んでて。



穂風の意地はいつまで続くだろうか…。



穂風に我慢を強いる心苦しさや、会えない切なさもあるけど。



でもそれ以上に、自分のキャリアを強くしていきたい。



穂風の雪解けを待つように、穂風のことをじっと見ていた。