夜の公園は暗い。



「フィリピンって野生動物って何がいるのかな」

「何だろうな…なんか…鳥?」

「適当なこと言ってる…」



なんとなくする他愛もない会話。



穂風もいつもの調子に戻ってきた感じがする。



でもあんまり夜に外で長居するのも良くない。



30分くらい夜風に当たり、ホテルに戻った。



またしばらく長いエレベーターに乗る。



部屋の前に立ってドアを開けようとするときに気づく。



ちょっと待て、俺ら2人ともルームキー持たずに出たよな…?



穂風と顔を見合わせた。



と、ちょうどその時、「穂風と夏葉くんじゃん」という聞きなれた声がした。



見ると愛姫と悠星が仲良く腕を組んでた。



2人もどこか外に行ってたらしい。



大会のときの選手のホテルはいつもMAKANAが手配してくれるから、穂風とは部屋も近い。



「ちょうどよかった、ちょっと部屋の内線貸してくれ」

「どうした?」

「鍵忘れて部屋入れねえからフロントに電話する」

「だめ。愛姫の下着とか落ちてるから見せらんねえ」



悠星がそう言ったら愛姫が悠星の肩をバンッと殴った。



「へんなこと言わないで!」

「悪い悪い」

「悪いとおもってないでしょ!」



愛姫が悠星に怒ってから、俺らに笑いかけた。



それから「かしてあげるからちょっと待ってて」と言って、悠星の腕を引っ張って部屋に入っていく。



しばらくしてから部屋のドアが開く。



愛姫がそっと出てきた。



「OK. Come on in(いいよ、入って)」



中に入れてもらうと、穂風の部屋とは違う間取りだが、これまた広い部屋。



どうやら悠星の部屋に愛姫が一緒に泊まってるようだった。



MAKANAは愛姫と悠星の分で2部屋取ってるはずなので、1部屋余ってもったいねえなあと思う。