ただいま、来週に控える世界大会のため、開催地であるニュージーランドで絶賛練習中。



最近本当に調子が良い。



波にゆったりと乗って、安定的な波乗り。



一段落ついて海から上がると、久しぶりの人がいた。



「You’re good at surfing as always(相変らず上手いね)」

「Kai!」



軽く拍手しながらあたしのことを浜辺から迎え入れるその人。



おととしの男子世界チャンピオンでオーストラリア人のカイ・テイラー。



あたしより4歳年上で、小さい頃からの知り合いだ。



腕を広げるカイとハグした。



いつもの流れだったからしちゃったけど、夏葉が妬いたりするかな…?



あんま嫉妬とかするタイプじゃないと思うけど。



まあ挨拶だしね!



夏葉が愛姫と挨拶でもハグするのは嫌だけど…。



「(怪我はもういいの?)」

「(もうすっかり治ったよ。去年は穂風に会えなくて残念だったな)」

「(またそんな冗談言って…)」



カイは前回の世界大会は怪我で出られなかった。



だから会うのは久しぶりだ。



「(今回も調子良さそうだね)」

「(うん、カイは?)」

「(怪我で少しブランクが空いた分緊張するけど、感覚は戻したつもりだよ)」

「(そっか! 良かった!)」



それから、積もる話もあるので近くのファストフード店に移動した。



世界チャンピオンの経歴を持つあたしとカイ。時折現地のサーファーっぽい人からの視線を感じる。



「(龍臣さんとそよ子さんは元気?)」

「(相変らず!)」

「(本当はこういう所じゃなくて、もっと素敵なところで穂風と食事したかったんだけどね)」

「(アハハ、あたし彼氏いるしそういうのはちょっとね~)」



あたしがそう言ったら、カイの動きが一瞬止まった。



それから、あたしに笑顔を向ける。



「(彼氏、できたの?)」

「(うん、はじめて! 超かっこいい)」

「(穂風と結婚するのは俺だと思ってたのに残念だな)」

「(何言ってんの~)」



カイはいつもそんな冗談ばかりだ。



面白くて付き合いやすいけどね。



それから、どんな人なのか聞くカイに夏葉のことを色々と教えた。



好きな人のこと話すのってなんかすごい嬉しい。



あっ、ノロケってこういうのか…。