Anonymous〜この世界にいない君へ〜

「私も太宰刑事とカフェでもスイーツビュッフェでもお供致しますよ」

デートという言葉が頭に浮かび、紫月の心臓がドクドクと強く脈打つ。慌てて顔を逸らして顔の熱が引くのを待った。そんな紫月の様子を見ていた修二が耳打ちする。

「恋愛成功の秘訣は、アプローチを積極的にすることだよ」

「あ、芥川さん!別にそういうのではーーー」

紫月が誤魔化そうとしたその時だった。凄まじい爆音が響き渡る。警視庁がグラリと一瞬揺れたような気がした。

「な、何!?」

尚美が口元を手で押さえながら言う。碧とアノニマスが窓の外へと駆け寄る。アノニマスの顔が一瞬にして険しくなり、碧の顔は真っ青になった。紫月も駆け寄り、窓の外を見る。

警視庁の近くにあるビルから、炎と煙が上がっていた。



そのビルは一階は喫茶店、二階は学習塾、三階は小さな会社が入っていた。その学習塾から爆破があり、補修に来ていた子ども二人と講師が一人、そして会社に向かっていた社員一人が命を落とし、複数人の怪我人が出た。その塾講師が広津平だったのである。