Anonymous〜この世界にいない君へ〜

真夜がパソコンを引き寄せて操作する。そして、一つのアプリを起動させた。紫月の見たことのないアプリだ。

「僕が開発中のアプリ。これを使えば歩き方の癖から特定の人物を割り出せる。まだ試験段階だけど」

「すごい!これで犯人特定があっという間ですね!」

ガッツポーズをした蓮を、真夜は冷ややかな目で見つめた。その口からは大きなため息が飛び出す。

「犯人特定って別に僕や泉先生の仕事じゃないからね?警察の仕事でしょ?一般市民に完全に寄り掛かって恥ずかしくないの?」

蓮はガッツポーズをしたまま石のように固まる。そんな蓮を無視し、紫月は「犯人は俺たちが逮捕する。協力してくれ」と頼んだ。

「今度、焼き肉奢ってよね」

「私には激辛料理を奢っていただきたいです」

サラリと便乗してアノニマスまで報酬を要求してきた。紫月は頭をガシガシと乱暴にかく。真夜の「奢って」はいつものことだが、アノニマスからの頼みには頰が赤く染まってしまう。

「……俺は激辛料理、食べれませんけどね」