Anonymous〜この世界にいない君へ〜

アノニマスはメニューを見始めた。その顔は真剣なものである。紫月は胸の高鳴りを感じながら、アノニマスと同じようにメニューを見始めた。

醤油ラーメン、味噌ラーメン、豚骨ラーメンに餃子に炒飯……。お腹が空いていることもあり、紫月はどれを食べようか迷ってしまう。ふと隣を見ると、アノニマスはメニューを閉じて持ってきた文庫本を開いていた。

「もう決めたのか?ずいぶん早いな」

「これにしようと思ってな」

アノニマスが指差したのは、期間限定の激辛ラーメンだった。唐辛子などが真っ赤なスープに浮いており、紫月は舌がヒリヒリと痛くなってくる。

「相変わらず辛党だな」

「そう言うお前は甘党すぎるぞ」

アノニマスがフッと笑う。紫月も笑い返して食べるラーメンを決めた。店員を呼び、アノニマスは激辛ラーメンを、紫月は醤油ラーメンを注文する。ラーメンが来るのを待つ間、紫月は事件のことをアノニマスに話すことにした。