Anonymous〜この世界にいない君へ〜

「最近多いわよね〜。ネットの情報とかそのまま動画にしてアップしてるやつ。でもこういうのって凶悪犯ってタグ付けときながら、実際は介護疲れでやむを得ず殺人に走ってしまった可哀想な人だったってことあるわよ。……まあ、こんな奴らの食い物にされたくなきゃ犯罪者になっちゃダメってことよね」

紫月は自身のスマホでも検索してみた。多くのYouTuberが似たような動画を投稿している。中には、紫月の聞いたことのない昭和の事件まであった。

「YouTuberの動画などでターゲットを探し、ネット掲示板の書き込みで住所などを特定してるみたいです」

「えっ、みんなネット掲示板に書き込んでるの?」

碧が驚く。蓮は「信じられないですけど」と言いながら不慣れな様子でパソコンを操作する。その様子を見ながら、紫月はこの場に真夜がいなくてよかったと思った。

パソコンの画面にスレッドがズラリと並ぶ。ほのぼのした話を投稿するスレッドから、修羅場体験や恋愛の話まで存在する。その中に、「注意!出所した凶悪犯!」というものがあった。