Anonymous〜この世界にいない君へ〜

翌日、紫月は警視庁にある窓際部署「未解決事件捜査課」にいつも通り出勤した。紀人、尚美、彰、碧はすでに出勤して未解決事件の資料に目を通している。最近では、仕事をする場面を目撃することの方が多くなった。

「おはようございます」

紫月が挨拶をすると、「おはよう」と返ってくる。自身のデスクに荷物を置くと、蓮が走りながらドアを開けた。蓮は息を切らしており、大きくその肩は上下している。

「夏目、どうした?何かあったか?」

紫月の問いに蓮はゼエハアと息を吐くだけで答えられない。すると紀人が代わりに答えた。

「実は夏目には、スパイに行ってもらっていた」

「スパイ?」

「捜査一課の会議を聞いてきてもらったのよ。どうせあんたら二人はすでに首を突っ込んだんでしょ?だったら、うちも捜査していいってことじゃない」

尚美がふふんと得意げに笑みを浮かべながら言う。紫月は自分の知らないところで話が進んでいたことに驚きつつ、蓮の元へと駆け寄った。