Anonymous〜この世界にいない君へ〜

アノニマスと紫月の言葉に、泰造がその場で頭を抱えて大声を上げた。それは、まるで追い詰められた獣が最後の足掻きで発した叫びのように聞こえた。快児は泣きそうになりながら震えている。その胸ぐらをアノニマスは掴んだ。

「何故、女の子を撃った後に救急車を呼ばなかった?そうすれば女の子は助かっていたかもしれないんだぞ!お前がやったことは殺人だ!わかっているのか!?」

快児はアノニマスの手を振り解こうとはしなかった。ただ、震える声で「ごめんなさい」と繰り返している。紫月は銃弾を見てため息を吐いた。この銃弾は、紫月が所有する拳銃から抜いたものである。

(こんなちっぽけな嘘で自供するなんてな……)

最悪な事件は、こうして幕を閉じた。