Anonymous〜この世界にいない君へ〜

「バラバラに解体をしたのは、解剖をされた際に銃弾が貫通した痕跡を誤魔化すためだったんですね」

アノニマスがそう言った瞬間、時が止まったような気がした。泰造と快児の赤かった顔が一瞬にして真っ青になる。部屋があっという間に静まり返った。紫月がここぞとばかりに胸ポケットからあるものを取り出す。それは、証拠品を入れる袋に入れられた銃弾だった。

「夢野さんが所有している山を捜索したところ、このようなものが発見されました。お宅に置かれたその銃を調べれば、この銃弾が誰の銃のものかはっきりしますよ」

紫月の言葉に、真っ青だった二人の顔は真っ白に変わっていく。今日も三十度を超えているというのに、二人はガタガタと体を震わせていた。アノニマスが言う。

「そこの馬鹿息子。お前は山の管理人が帰った後、父親の猟銃を持って山に入った。その際、猟銃に銃弾を詰めていたんだろう」

「狩猟免許を持っていないのに銃を所持することはもちろん違法です。しかし、狩猟をする際にも決まりがあるんですよ。泰造さんならご存知ですよね?猟師は獲物を発見するまで銃弾を銃の中に詰めてはいけない。間違って人を撃たないように作られた法律です」