Anonymous〜この世界にいない君へ〜

「は、はぁ……」

佳奈は困ったような顔をしたものの、門の横に立つ。その横を紫月とアノニマスは通り抜けた。紫月の心臓が早く脈打つ。これから卑劣な犯人たちを追い詰めるのだ。

「……刑事さん、今日は一旦何のご用ですか?時間は作りましたが、市議会の方に顔を出さないといけないんです。手短にお願いしますよ」

「何で俺までいなきゃなんねぇの?友達と遊びに行く約束してるんだけど!」

泰造と快児は苛立っている様子だった。しかし、その目はどこか泳いでいる。刑事が何度も家にくることが大きなストレスなのか、それともーーー。

「本日は、福沢亜美さんの事件が解決したのでご報告に来ました」

「その女の子とは接点がありませんよ!報告なんて必要ない!」

紫月の言葉に泰造が噛み付くように言う。アノニマスがその様子をチラリと見て、口を開いた。

「私はこの事件を知った時から、ずっと気になっていたことがあったんです。まだ中学生で恨みを買うとは思えない子が、何故バラバラに解体されなくてはならなかったのか」

「知らねぇよ、そんなこと!犯人に聞けよ!」

快児が顔を真っ赤にし、大声を出す。アノニマスは軽蔑したような冷たい目を向けていた。快児の声をかき消すように、凛とした声が響く。