Anonymous〜この世界にいない君へ〜

アノニマスからのそのメッセージに、紫月は浮かれてしまったのを隠せなかった。胸が高鳴り、頰がじんわりと熱を持っていく。

『今度の日曜日なら大丈夫だ』

急いでそう返信し、アノニマスからの『ありがとう』という一言に、学生のように内心はしゃいでしまったものだ。

そして迎えた当日、黒のニットにワイドパンツ、マルタンチェスターコートの全身をダークトーンでまとめた紫月は緊張を覚えながら待ち合わせ場所へと向かう。待ち合わせ場所に行くと、目立った格好の小柄な女性がすでにいた。一目でアノニマスだとわかる。

赤い大きなリボンのついた白いブラウスの上に赤いジャンパースカートを着て、雪を思わせる白いウィッグを被っている。ウィッグには赤いヘッドドレスが付けられていた。可愛らしいコートに身を包んだ彼女が吐き出した息が白く染まる。

紫月は緊張を覚えながらアノニマスに声をかけた。

「アノニマス、すまない。待たせてしまったな」

「いや、構わない。誘ったのはあたしだからな」