Anonymous〜この世界にいない君へ〜

足の痛みは変わらずある。しかし、アノニマスがーーー守るべき人がそこにいるという事実が紫月の力となっている。

「足、辛いでしょう?すぐに楽にしてあげるわ」

「尾崎千秋。数々の殺人、そしてアノニマスに対する誘拐と逮捕・監禁罪で拘束する」

千秋が地面を蹴り、紫月に向かってナイフを振り下ろす。とても素人とは思えない動きに紫月は少し驚いたものの、ナイフを避けて千秋に殴り掛かる。しかし、紫月の拳は呆気なく防御されてしまった。

「さすが警察官。それなりには動けるのね」

「お前も大した腕だよ。さすが何人も葬ってきただけある」

千秋がナイフを振り下ろす。その腕を紫月は掴み、怪我を負っていない方の足で千秋を蹴り上げる。千秋は「グッ!!」と呻き声を上げたものの、地面に膝を付くことなく紫月にまた攻撃をした。

「暴力には慣れてるの。昔は暴力を受ける側、そして今は暴力を振るう側」

楽しそうに千秋はナイフを振り回す。紫月は痛む足に鞭打ってナイフを交わしていく。攻撃する隙を窺った。