Anonymous〜この世界にいない君へ〜

蓮も真夜も迷いのない目をしていた。紫月は「わかった」と短く答え、走って狼狽えているレオポルトの横を通り抜ける。

(絶対に死なせない!)

紫月は拳を握り締め、ただ前を見て走った。



レオポルトは狼狽えていたものの、紫月が階段を登っていくと冷静さを取り戻したようだった。顔を着ているシャツの袖で拭い、蓮と真夜を睨み付ける。

「ガキ共が……!!」

初めて見たレオポルトの怒りの表情に、蓮は真夜の前に素早く移動した。いつレオポルトが引き金を引くかわからない。一般人である真夜を危険に晒すのは警察官としてあってはならないことである。

「夏目さん、そういうのいいから」

守ろうとしている蓮の背後から真夜は顔を出した。その顔は、ドローンでの攻撃がある前のレオポルトのように無表情である。

「僕、自分の身くらい自分で何とかするよ。夏目さんは自分のこと心配したら?」

淡々とした口調だったものの、蓮は真夜の目に強い意志が宿っているように見えた。