Anonymous〜この世界にいない君へ〜

レオポルトがまた銃の引き金を撃っていく。銃弾の雨が朽ち果てた廃屋に降り注ぐ。紫月と蓮は素早く物陰に隠れ、隙を見て拳銃の引き金を引く。ただそれの繰り返しだ。時間だけが過ぎていく。

「全然終わりが見えない……」

蓮が汗を拭いながら言う。紫月は物陰からレオポルトの様子を窺った。彼は涼しげな表情で銃弾をこめている。

(早くこの場を切り抜けなければ……!)

拳銃を持つ紫月の手に力が入る。しかし、レオポルトを間違えて射殺してはならない。警察官として被疑者死亡は一番避けなければならないことだ。

(しかし、どうすればいいんだ……?)

紫月の眉間に皺が寄る。この状況を打開する方法など思い付かない。ただ銃を発砲することだけしかできない。

(弾は永遠にあるわけじゃないんだが……)

警察が支給される弾丸には限りがある。しかし、レオポルトは表情を変えずに撃ち続けている。恐らく弾が紫月と蓮が持っている数よりも多いのだろう。